蚕養国神社

蚕養国神社（こがいくにじんじゃ）

蚕養国神社は、福島県会津若松市蚕養町に位置する神社です。古くは式内社として名を連ね、現在は県社となっています。その名の通り、養蚕の神様として地域の人々に深く信仰されています。

祭神

御祭神は以下の三柱です。

保食大神 （うけもちのおおかみ）
稚産霊大神 （わくむすびのおおかみ）
天照大御神 （あまてらすおおみかみ）

歴史

神社の創建は、社伝によれば弘仁2年（811年）に遡ります。『延喜式』神名帳において、「蚕養国」を社名とする官社は全国で唯一であり、その名が示す通り、創建には養蚕業が深く関わっていると考えられています。

会津での養蚕の奨励は、中央政府の政策とも関連があったとする説があります。『日本後紀』には、延暦15年（796年）に、養蚕技術を指導するために、複数の国の婦女が陸奥国へ派遣されたという記録が残っています。

延長5年（927年）に成立した『延喜式』神名帳には、「蝅養国神社」として記載され、式内社に列しています。会津地方において、式内社は蚕養国神社と伊佐須美神社の二社のみでした。

国史に記載はないものの、社伝によれば、承和年間には藤原富士麻呂の奏上により官社となり、寛弘7年（1011年）には石部少将道秀らによって社殿が創建されたと伝えられています。その後、兵火により社殿が焼失し一時衰退しますが、会津藩初代藩主の保科正之によって復興され、社殿の造営と社領20石の安堵を受けました。寛保3年（1743年）には神階が正一位に進み、文化4年（1807年）の火災後の文政2年（1819年）には、8代藩主の松平容敬によって再建されました。

明治維新後、明治9年（1876年）に県社に列格されました。

境内

本殿は皇子造（王子造/熊野造）という特殊な形式で建てられています。境内には、幣殿、拝殿、神饌所、神楽殿などの社殿が配置されています。

特に目を引くのは、拝殿前にそびえ立つ樹齢1,000年以上と伝えられる「峰張桜（みねはりざくら）」です。樹高は14メートルに達し、会津若松市の指定天然記念物となっています。社伝によれば、寛弘7年（1011年）の社殿創設の際に植えられたとされています。

摂末社

境内には以下の摂末社が鎮座しています。

五社稲荷神社
鬼渡神社
護忠霊社
宗像神社・瀧直神社
和霊々社

祭事

年間を通して様々な祭事が行われています。

月次祭 （毎月1日・15日）
元旦祭 （1月1日）
初午祭 （2月初午日）
桜花祭・春季大祭 （4月19日）
夏越大祓・茅の輪くぐり （6月30日）
例大祭 （8月1日）
神輿渡御 （8月2日）
新穀感謝祭 （11月23日）
歳越大祓 （12月30日）

文化財

会津若松市指定天然記念物
峰張ザクラ - 平成9年3月18日指定

現地情報

所在地：福島県会津若松市蚕養町2番1号
交通アクセス：
鉄道：JR磐越西線・只見線 会津若松駅より徒歩約11分


養蚕の歴史と文化を今に伝える蚕養国神社。会津若松を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

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