蛟龍丸

蛟龍丸（こうりゅうまる）の歴史

蛟龍丸は、1903年に進水した日本の貨客船であり、当初は旅客定員298人を誇る商船として造られました。大阪鉄工所により建造され、鋼製の船体を持ちつつ、推進設備にはレシプロ式蒸気機関とスクーナー式の帆装が搭載されていました。運航開始当初は藤野四郎兵衛によるもので、瀬戸内海の金刀比羅宮参拝客を運ぶ定期航路に利用されました。

日露戦争への徴用

日露戦争が1904年に勃発すると、蛟龍丸はすぐに徴用され、佐世保鎮守府にて傭船契約が結ばれました。この時期、蛟龍丸は非武装の状態で使用されましたが、その後の作戦で連合艦隊用に改造が行われました。改装では、機雷敷設のための装備が整えられ、船体には砲が追加された結果、その役割は大きく変わりました。

蛟龍丸は、旅順港への機雷敷設任務に投入され、1904年4月12日に実施した作戦では、敵に発見されることなく成功を収めました。この攻撃によりロシア艦隊に対して大きな損害を与え、特に戦艦「ペトロパブロフスク」が触雷沈没したことが大きな戦果となりました。その功績が報じられ、蛟龍丸の指揮官は戦争の英雄として取り上げられました。

戦後の商船業務

日露戦争の終了後、蛟龍丸は商船としての役割を再開しました。1916年に船主が変更され、函館市の木田長右衛門が新しい船主となりました。以降、貨物専用船として利用され、青函連絡船の貨物輸送にも寄与しました。更に1926年には北洋漁業用として日魯漁業に傭船され、様々な活動を行い続けました。

1930年には済州島との定期航路に就航し、この時には東亜通航組合に所属しながら旅客輸送を行いました。1933年の昭和三陸地震では、停泊中に津波で流されるなどの困難にも見舞われました。

そして最期

蛟龍丸の運命は1941年に学術調査団を乗せて千島列島へ向かう際に、座礁して全損となるという形で終わりを迎えました。その後の復旧作業や貴重な遺物として残されたスクリューの破片を用いて、蕪嶋神社の境内には海嘯記念碑が建立されました。

このように、蛟龍丸はただの貨客船ではなく、軍事的な役割を果たしつつ商船としての長い歴史を持つ重要な艦船でした。戦争の激しい時代を経て、商業活動に戻るも、最終的には自然の力によってその運命が決まったことは、艦船の一生を語る上で非常に興味深いものです。

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