蜂子皇子

蜂子皇子について

蜂子皇子（はちこおうじ）、または波知乃子王は、564年頃に誕生し、641年に死亡した飛鳥時代の皇族です。彼は崇峻天皇の第三皇子として知られており、一般には「はちこ」と呼ばれていますが、正確には「はちのこ」が彼の名の読み方です。

生涯と伝説

欽明天皇の時代、蜂子皇子は父の崇峻天皇が592年に暗殺された後、危険を避けるため聖徳太子によって匿われました。彼は丹後国由良（現在の京都府宮津市由良）から船で脱出し、最終的に今の山形県鶴岡市の八乙女浦に到達しました。ここで彼は、八人の乙女が神楽を舞い、笛の音に合わせて踊る光景に心を惹かれました。この伝説から「八乙女浦」という名前がついたといわれています。

蜂子皇子はさらに、三本足の烏に導かれ羽黒山に登頂し、そこで羽黒権現に出会ったとされています。彼の行動は、出羽三山の開山へとつながり、後世において「能除仙」、あるいは「能除大師」として広く知られるようになりました。このような尊称は、彼が多くの人々の苦悩を取り除いたことに由来しています。

また、彼の肖像画は多くが特徴的な容貌で描かれており、その外観は彼が数多の人の悩みを聞いた結果だとも言われています。出羽三山神社にある蜂子皇子の墓は、東北地方における唯一の皇族の墓であり、戦前は宮内庁により管理されていましたが、現在は出羽三山神社がその管理を行っています。

系譜と経歴

蜂子皇子の父は崇峻天皇、母は大伴小手子姫（大伴糠手の娘）です。彼には姉妹として錦代皇女が存在します。彼の経歴は非常に興味深いものです。

• - 592年：父である崇峻天皇が蘇我馬子によって暗殺され、蜂子皇子は聖徳太子によって匿われ、その後法名を弘海として出家します。
• - 593年（推古元年）：蜂子皇子は由良の八乙女浦の海岸に到達し、そこを拠点に羽黒山を開山します。この際、彼は3年間岩窟で修行を行い、この修行が羽黒修験の元となったとされています。その後、月山も開山します。
• - 605年（推古13年）：湯殿山に湯殿山神社を設立します。
• - 641年（舒明13年）：蜂子皇子は羽黒で生涯を終え、享年は80歳とされていますが、91歳とする説も存在します。

まとめ

蜂子皇子の伝説と彼の行いは、出羽三山の文化や信仰に深く根ざしており、日本の歴史の中で非常に重要な存在となっています。今日でも、彼に関連する神社や伝説は多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索