蜂須賀祐一

蜂須賀祐一：卓越したスーツアクターの軌跡

蜂須賀祐一（はちすか ゆういち）は、1962年8月27日生まれの日本の俳優、スーツアクターです。ジャパンアクションエンタープライズ（JAE）に所属し、特にスーパー戦隊シリーズでの活躍が知られています。双子の弟である蜂須賀昭二も同じくJAEに所属しており、兄弟揃って数多くの作品で活躍しています。

女形スーツアクターとしての才能

蜂須賀祐一は、その小柄でスマートな体格を活かし、女性の変身したヒロインを演じる「女形スーツアクター」として広く知られています。繊細で美しい動きは、多くのファンを魅了し、彼が演じる女性キャラクターは、その存在感と独自性で際立っています。双子の弟である昭二も、同様にヒロイン役を多く担当しており、兄弟での活躍が注目されています。

アクションへの情熱と挑戦

栃木県出身の蜂須賀は、映画『忍者武芸帖 百地三太夫』を観たことがきっかけでアクションの世界に興味を持ち、1982年にJAC（現JAE）に入団しました。入団からわずか2ヶ月で『宇宙刑事ギャバン』の戦闘員役としてデビューし、『ギャバン』と『宇宙刑事シャリバン』では、弟の昭二と共に双子役で出演しました。

1984年の『宇宙刑事シャイダー』および後楽園ゆうえんちの『超電子バイオマン』ショーでスーツアクターとしての活動を本格的に開始。1985年の『電撃戦隊チェンジマン』では、チェンジフェニックス役で戦隊シリーズに初参加。その後、『鳥人戦隊ジェットマン』のホワイトスワンまで、7作品連続でヒロインを担当しました。

ホワイトスワン降板後は一時出演が途絶えましたが、『超力戦隊オーレンジャー』でシリーズに復帰。『電磁戦隊メガレンジャー』以降は再びヒーロー側のスーツアクターを担当し、1998年の『星獣戦隊ギンガマン』で初の男性レギュラーを担当。その後、『未来戦隊タイムレンジャー』まで3作連続で男性キャラクターを演じました。2000年代後半からは、女性スーツアクターの増加に伴い、女性敵幹部のスーツアクターを担当する機会が増えています。

俳優としてのこだわり

蜂須賀は、後楽園ゆうえんちの『超電子バイオマン』ショーで女性キャラクターを初めて担当しました。その際、小柄で細身であったことが選ばれた理由だと語っています。初めてレギュラーを務めた『電撃戦隊チェンジマン』では、チェンジマーメイド役の赤田昌人がアクションに秀でていたため、自身はアクションに全力を尽くしつつ、芝居では負けないように意識していました。

そのため、街中や映画で様々なタイプの女性の仕草を観察し、演技に取り入れていました。デビュー初期はワイヤーアクションが導入され始めた時期であり、当時は切れやすいピアノ線を使用していたため、何度もやり直しがあったと述べています。

『超獣戦隊ライブマン』のブルードルフィン役では、初めて単独ヒロインを担当したことから大きなプレッシャーを感じ、覚悟を決めて挑んだ結果、自信を持って演技ができるようになったと語ります。『鳥人戦隊ジェットマン』では、変身前とのシンクロが濃くなったことから、シリーズとしての転換期だったと振り返っています。

休養期間中には、アクション監督の山岡淳二から『ブルースワット』への代役出演を依頼されましたが、自信がないという理由で断っています。『星獣戦隊ギンガマン』のギンガイエローのように少年戦士役を演じることもありましたが、女性の動きが出てしまうことを意識して男性役は向かないと感じたそうです。

『救急戦隊ゴーゴーファイブ』からは、体を大きくするために筋力トレーニングを行っていましたが、『百獣戦隊ガオレンジャー』で再び女性役を演じることになったため、体を元に戻すのに苦労したというエピソードもあります。『轟轟戦隊ボウケンジャー』では、ボウケンイエローが戦いの素人という設定だったため、土壇場で役作りを変更しました。

『海賊戦隊ゴーカイジャー』では、当初ピンク役を担当する予定でしたが、長年同じような役を演じていたことから、クールな役を演じたいという意向と、過去に担当したイエローの衣装がそのまま着られるものが多かったことから、ゴーカイイエローを担当することになりました。『手裏剣戦隊ニンニンジャー』で演じた十六夜九衛門は、久々の男性レギュラーでしたが、当初は正体が確定していなかったため、性別が分からないように演じるよう指示されていたそうです。

また、2004年には妻に腎臓を提供し、腎移植手術を受けながらも激しいスタントをこなしていました。JAEでは、スーツアクターからアクション監督に転身する者もいますが、蜂須賀は自身には向いていないとして、アクション監督を務める意思はないと語っています。その一方で、若手に対して女形としてのアクションテクニックを指導し、後進の育成に力を入れています。

多彩な出演作品

蜂須賀は、スーツアクターとしての活躍だけでなく、顔出しでゲストキャラクターを演じることもあります。以下に代表的な出演作品を挙げます。

テレビドラマ

人生は上々だ（1995年、TBS）
森村誠一の終着駅シリーズ14（2000年、テレビ朝日） - 奥村公延吹き替え
ロスタイムライフ（2008年、フジテレビ） - サラリーマン役
第46回新春かくし芸大会2009（2009年1月1日、フジテレビ）

特撮テレビドラマ

スーパー戦隊シリーズ
大戦隊ゴーグルファイブ（1982年 - 1983年）
科学戦隊ダイナマン（1983年 - 1984年）
超電子バイオマン（1984年 - 1985年）
電撃戦隊チェンジマン（1985年 - 1986年） - チェンジフェニックス
超新星フラッシュマン（1986年 - 1987年） - ピンクフラッシュ
光戦隊マスクマン（1987年 - 1988年） - ピンクマスク
超獣戦隊ライブマン（1988年 - 1989年） - ブルードルフィン
高速戦隊ターボレンジャー（1989年 - 1990年） - ピンクターボ
地球戦隊ファイブマン（1990年 - 1991年） - ファイブイエロー
鳥人戦隊ジェットマン（1991年 - 1992年） - ホワイトスワン
超力戦隊オーレンジャー（1995年 - 1996年） - バーロ兵、オーピンク（代役）
激走戦隊カーレンジャー（1996年 - 1997年）
電磁戦隊メガレンジャー（1997年 - 1998年） - メガイエロー、メガブルー（分身体）
星獣戦隊ギンガマン（1998年 - 1999年） - ギンガイエロー、ギンガベリック、ギガフェニックス
救急戦隊ゴーゴーファイブ（1999年 - 2000年） - ゴーイエロー
未来戦隊タイムレンジャー（2000年 - 2001年） - タイムグリーン
百獣戦隊ガオレンジャー（2001年 - 2002年） - ガオホワイト
忍風戦隊ハリケンジャー（2002年 - 2003年） - チュウズーボ、マンマルバ（成長体）、サンダール、ハリケンブルー（アクション部分）
爆竜戦隊アバレンジャー（2003年 - 2004年） - アバレイエロー（アクション部分）、無限の使徒ヴォッファ、バーミア兵、テンサイエロー
特捜戦隊デカレンジャー（2004年 - 2005年） - サキュバス・ヘルズ
魔法戦隊マジレンジャー（2005年 - 2006年） - マジマザー、メーミィ、ライジェル、サイクロプス、スフィンクス
轟轟戦隊ボウケンジャー（2006年 - 2007年） - ボウケンイエロー
獣拳戦隊ゲキレンジャー（2007年 - 2008年） - メレ（獣人体）、マーラシヤ（第23話）
炎神戦隊ゴーオンジャー（2008年 - 2009年） - ゴローダーGT
侍戦隊シンケンジャー（2009年 - 2010年） - シンケンレッド（薫）、薄皮太夫
天装戦隊ゴセイジャー（2010年 - 2011年） - ゴセイピンク
海賊戦隊ゴーカイジャー（2011年 - 2012年） - ゴーカイイエロー、ゴーミン（第30話）
特命戦隊ゴーバスターズ（2012年 - 2013年） - イエローバスター
獣電戦隊キョウリュウジャー（2013年 - 2014年） - キャンデリラ
烈車戦隊トッキュウジャー（2014年 - 2015年） - ノア夫人
手裏剣戦隊ニンニンジャー（2015年 - 2016年） - 十六夜九衛門、スズメバチ（第33話）、アカイキュウビ（第41話）
動物戦隊ジュウオウジャー（2016年 - 2017年） - ナリア、狼男
宇宙戦隊キュウレンジャー（2017年 - 2018年） - アキャンバー、大僧正（Space.38）
快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー（2018年 - 2019年） - ゴーシュ・ル・メドゥ 、ハンチングの男（イセロブ・スターフライド）
騎士竜戦隊リュウソウジャー（2019年 - 2020年）
魔進戦隊キラメイジャー（2020年 - 2021年） - 侍（エピソード3）
暴太郎戦隊ドンブラザーズ（2022年 - 2023年） - ソノニ変身体、鶴の獣人
王様戦隊キングオージャー（2023年 - 2024年） - パピヨンオージャー、キャンデリラ
爆上戦隊ブンブンジャー（2024年） - キャノンボーグ
宇宙刑事シリーズ
宇宙刑事ギャバン（1982年 - 1983年） - クラッシャー、刺客（第36話）
宇宙刑事シャリバン（1983年 - 1984年） - 古田商会の長男（第23話）
宇宙刑事シャイダー（1984年 - 1985年） - 珍獣
仮面ライダーシリーズ
仮面ライダーBLACK（1987年 - 1988年、毎日放送）
仮面ライダー響鬼（2005年 - 2006年、テレビ朝日）
仮面ライダーカブト（2006年 - 2007年、テレビ朝日）
仮面ライダーキバ（2008年 - 2009年、テレビ朝日） - 仮面ライダーイクサ（麻生親子変身時）
仮面ライダーディケイド（2009年、テレビ朝日）
仮面ライダーウィザード（2012年 - 2013年、テレビ朝日）
仮面ライダー鎧武/ガイム（2013年 - 2014年、テレビ朝日）
仮面ライダードライブ（2014年 - 2015年、テレビ朝日）
仮面ライダーゴースト（2015年 - 2016年、テレビ朝日） - ガンマイザー・リキッド（第46話）
仮面ライダーエグゼイド（2016年 - 2017年、テレビ朝日）
仮面ライダービルド（2017年 - 2018年、テレビ朝日）
仮面ライダージオウ（2018年 - 2019年、テレビ朝日）
仮面ライダーゼロワン（2019年 - 2020年、テレビ朝日） - 仮面ライダー亡
仮面ライダーガヴ（2024年 - ）
兄弟拳バイクロッサー（1985年、東映・日本テレビ） - 警官（第20話）

テレビスペシャル

手裏剣戦隊ニンニンジャーVS仮面ライダードライブ 春休み合体1時間スペシャル（2015年、東映・テレビ朝日）

映画

多数のスーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズ、宇宙刑事シリーズの劇場版作品に出演。
スーパーヒーロー大戦シリーズにも多数参加。
特命係長 只野仁 最後の劇場版（2008年、松竹） - 組員 役
海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE（2012年、東映） - ゴーカイイエロー
イン・ザ・ヒーロー（2014年、東映） - 忍者 役
スーパー戦闘 純烈ジャー（2021年、東映） - 純グリーン
スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免（2022年、東映）

Vシネマ

多数のスーパー戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズのVシネマ作品に出演。

ネットムービー

ネット版 仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大変 〜犯人はダレだ?!〜（2012年、東映）
ネット版 仮面ライダーウィザード イン マジか!?ランド（2013年、東映）
獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ（2017年、東映）
獣電戦隊キョウリュウジャー「ブレイブ33.5 これぞブレイブ！たたかいのフロンティア」（2018年、東映）
快盗戦隊ルパンレンジャー＋警察戦隊パトレンジャー 〜究極の変合体！〜（2018年、auビデオパス）
警察戦隊パトレンジャー Feat. 快盗戦隊ルパンレンジャー ～もう一人のパトレン2号～（2018年、東映特撮ファンクラブ）
仮面ライダーアウトサイダーズ（2022年、東映特撮ファンクラブ）

スーパー戦隊ショー

後楽園遊園地スーパー戦隊シリーズショーに多数出演。

イベント

JAE NAKED LIVE「がんばろう 日本！」（2011年）
* JAE "春"プレミアムイベント ~Jump Up!~（2016年）

まとめ

蜂須賀祐一は、その卓越したアクションスキルと繊細な演技で、多くのファンを魅了し続けています。彼の「女形スーツアクター」としての活躍は、特撮史に残る偉業であり、これからもその活躍から目が離せません。

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