蝋人形の館 (曲)

聖飢魔IIの金字塔「蝋人形の館」：誕生から現在まで

聖飢魔IIの代表曲として知られる「蝋人形の館」は、1986年 4月2日、バンドの第二大教典『THE END OF THE CENTURY』と同時にリリースされた楽曲です。作詞作曲はダミアン浜田、編曲は聖飢魔II名義。聖飢魔II初の小教典として、オリコンチャート最高17位、累計30万枚を超える大ヒットを記録し、ヘヴィメタル史に名を刻むこととなります。

黒魔術的、悪魔的な世界観

楽曲の世界観は、漫画『人形地獄』や映画『サスペリアPART2』などから着想を得た、浜田による悪魔的、黒魔術的な要素が特徴です。初期バージョンとは異なる部分もありますが、聖飢魔IIの地球デビュー以前から存在していた楽曲で、正式リリース版ではギターソロなどが変更されています。

聖飢魔II結成とデビューまでの道のり

ギター'>[聖飢魔II]]は1982年末、早稲田フォークソングクラブで結成されました。当初は「は・は・は・は・はまださんバンド」という名で活動。メンバーはダミアン浜田]、デーモン小暮(ボーカル)、エース清水(ドラムス)、[ゾッド星島]の4名でした。バンド名は紆余曲折を経て「[[聖飢魔II」に決定。1984年にはCBS・ソニー主催のオーディションで特別賞を受賞し、メジャーデビューを果たします。デビューアルバム『聖飢魔II〜悪魔が来たりてヘヴィメタる』は、ヘヴィメタルとしては異例の10万枚を突破する大ヒットとなりました。聖飢魔IIは地道なライブ活動とメディア露出を積極的に行い、知名度を拡大していきました。

楽曲制作の裏側

「蝋人形の館」の制作は、浜田が教師として就職する直前、聖飢魔II解散の寸前に行われました。浜田はイントロを制作した段階でタイトルを思いついたとのことです。当初のデモテープでは、アルペジオとノイズのバック演奏に、低くかすれた声で呪文のような囁きが重なっていました。浜田は映画『肉の蝋人形』に影響を受けたという説を否定し、『人形地獄』や『サスペリアPART2』からのインスピレーションを認めています。また、『エクソシスト』や『サスペリア』なども影響源として挙げており、特に『サスペリア』のサウンドトラックを担当したゴブリンへの傾倒も明かしています。

リリース版のギターソロは清水が担当。浜田は清水のソロを「哀愁があって素敵だが、楽曲の残酷さとは異なる」と評価しつつ、自身のソロを採用していたらヒットしなかったかもしれないと推測しています。ライブではジェイル大橋もギターソロを担当するようになり、多様な解釈が加わっていくことになります。

リリースとチャート成功、メディアでの使用

「蝋人形の館」は1986年 4月2日に7インチレコードとカセットテープでリリース。テレビ出演も増え、オリコンシングルチャートで最高位17位、9.2万枚を売り上げました。最終的な売上は30万枚を超え、ヘヴィメタル史上の大ヒットとなりました。ミュージックビデオには柴田くに子が出演しています。

1999年にはセルフカバー「蝋人形の館'99」がリリース。また、2010年にはTBS系番組『時短生活ガイドSHOW』で、赤ちゃんの泣き止ませに効果があるという実験が行われ、話題となりました。さらに、テレビアニメ『べるぜバブ』でも使用されています。

ライブパフォーマンスと様々なバージョン

ライブでは、小暮によるモノローグから「お前も蝋人形にしてやろうか！」という叫びで始まるのが恒例です。初期のライブではモノローグの内容も異なっていました。楽曲の終盤での女性の悲鳴のような叫び声にも観客が反応し、掛け合いが生まれることもありました。2010年の再集結ライブでは大橋が初めてギターソロを担当し、前任者へのリスペクトと新たな解釈を融合させた演奏を行いました。小暮は「蝋人形の館」が聖飢魔IIの代表曲であり、35年間の活動でも超える楽曲を作れなかったと語っています。

「蝋人形の館」は、数多くのアルバムに収録されていますが、オリジナルバージョンに加えて、リミックス版、セルフカバー版（英語詞バージョンを含む）、そしてライブバージョンなど、様々なバージョンが存在します。

「蝋人形の館'99」

1999年 4月21日にリリースされた「蝋人形の館'99」は、聖飢魔II初のマキシシングルです。スタッフからの提案で実現したセルフカバーで、カップリング曲として森俊彦によるダンスミュージックアレンジ「蝋人形の館 ANNEX」も収録されています。

カバー

「蝋人形の館」は、SHOW-YA、あゆみくりかまき、小林ゆう、菅原進など、多くのアーティストによってカバーされています。

「蝋人形の館」は、聖飢魔IIの音楽性、パフォーマンス、そして時代背景が複雑に絡み合った、日本のヘヴィメタル史に残る名曲と言えるでしょう。その影響力は、現在も多くのファンに受け継がれ、語り継がれています。

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