螺旋のオルフェ

螺旋のオルフェ

『螺旋のオルフェ』は、宝塚歌劇団の月組によるミュージカルで、1999年に宝塚大劇場で初演されました。形式名は「ミュージカル」で、物語は11場から構成されています。作・演出は荻田浩一が手掛け、併演作品として『ノバ・ボサ・ノバ』が上演されました。

この作品の舞台は、1950年代のパリ。ナチス占領下で、主人公イヴ・ブランシェは、かつてのナチスの将校です。彼はレジスタンスのスパイ、アデル・ヴァレリと恋に落ち、共にパリを救うために立ち上がります。しかし、戦火の中、アデルは命を落とし、イヴは彼女の面影を追い続けることになります。そんなある日、彼の前にアデルにそっくりな妹のルシル・ヴァレリが現れ、物語は新たな展開を迎えます。

この作品は、ギリシャ神話に名高いオルフェウスの伝説をもとにしており、冷戦下のパリという特異な時代背景を持つロマンティックでミステリアスなストーリーが特徴です。舞台では、愛と喪失、そして再生というテーマが描かれ、観客は深い感動を覚えます。

大劇場公演は、真琴つばさと檀れいによる男女のトップコンビの派手なオープニングとしても知られています。また、荻田浩一の大劇場デビュー作品でもあり、彼の演出によって美しい舞台が作り上げられました。

公演は、1999年の5月14日から6月21日まで宝塚大劇場で行われ、その後、8月20日から9月27日まで東京のTAKARAZUKA1000days劇場でも上演されました。

舞台制作には多くの才能あるスタッフが携わっています。音楽の作曲と編曲は高橋城が担当し、音楽指揮は清川知己が行いました。振付には上島雪夫、伊賀裕子、川崎悦子といった振付師が参加し、視覚的にも楽しませてくれるパフォーマンスが展開されました。舞台の装置は大橋泰弘が手掛け、衣装は任田幾英がデザインしました。照明技術には勝柴次朗が、音響には加門清邦が関与し、舞台全体の雰囲気を引き立てました。

出演者は、イヴ・ブランシェ役に真琴つばさ、アデル・ヴァレリとルシル・ヴァレリ役に檀れいが扮し、彼らの圧巻の演技が大いに話題となりました。他にも、紫吹淳、初風緑、汐美真帆などの実力派が揃い、各キャラクターの深みを引き出しました。

『螺旋のオルフェ』は、その独特なストーリーが持つ魅力とともに、宝塚歌劇団の歴史の中で特別な位置を占めています。観客はこの作品を通じて、愛とは何か、そして人はどう生きるべきかを考えさせられることでしょう。

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