血塗ラレタ世界

スレイヤー『血塗ラレタ世界』(World Painted Blood) 解説

『血塗ラレタ世界』（原題：World Painted Blood）は、アメリカのスラッシュメタルバンド、スレイヤーが2009年に発表した通算10作目のスタジオ・アルバムです。リック・ルービンの推薦により、グレッグ・フィデルマンがプロデュースを担当しました。

本作の制作は、レコーディングを進めながら楽曲を構築していくという手法が採られました。完成された楽曲を持ち込むのではなく、スタジオでのセッションを通じてアイデアを出し合い、曲を練り上げていくプロセスは、バンドにとって新たな試みだったと言えるでしょう。

アルバムのリリースに先駆け、2009年4月には7インチ・アナログシングル「サイコパシー・レッド」が5000枚限定で発売されました。この楽曲は、ロシアの連続殺人犯アンドレイ・チカチーロをモチーフにしており、その猟奇的な歌詞が話題を呼びました。スレイヤーらしい、タブーに挑戦する姿勢が色濃く反映された楽曲と言えるでしょう。

同年7月には、「ヘイト・ワールドワイド」がCDシングルとして限定リリース。この楽曲は、第52回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門にノミネートされましたが、惜しくも受賞は逃しました。しかし、その楽曲の完成度の高さは、音楽業界からも高く評価されたと言えるでしょう。

バンドの母国アメリカでは、前作『クライスト・イリュージョン』（2006年）に続き、2作連続での全米トップ10入りは果たせませんでした。Billboard 200では最高12位に留まりましたが、『ビルボード』誌のハード・ロック・アルバム・チャートでは2位、ロック・アルバム・チャートでは4位を獲得しており、高い人気を維持していることを示しました。

収録曲

1. 血塗ラレタ世界 - "World Painted Blood" - 5:53
2. ユニット731 - "Unit 731" - 2:39
3. スナッフ - "Snuff" - 3:42
4. ビューティー・スルー・オーダー - "Beauty Through Order" - 4:36
5. ヘイト・ワールドワイド - "Hate Worldwide" - 2:52
6. パブリック・ディスプレイ・オブ・ディスメンバーメント - "Public Display of Dismemberment" - 2:34
7. ヒューマン・ストレイン - "Human Strain" - 3:09
8. アメリコン - "Americon" - 3:22
9. サイコパシー・レッド - "Psychopathy Red" - 2:26
10. プレイング・ウィズ・ドールズ - "Playing with Dolls" - 4:13
11. ノット・オブ・デス・ゴッド - "Not of This God" - 4:19

日本盤ボーナス・トラック

12. サイコパシー・レッド - "Psychopathy Red (Explicit Live Version)" - 2:46

参加ミュージシャン

トム・アラヤ - ボーカル、ベース
ジェフ・ハンネマン - ギター
ケリー・キング - ギター
デイヴ・ロンバード - ドラムス


『血塗ラレタ世界』は、スレイヤーの音楽的探求心と、スラッシュメタルへの揺るぎない情熱が融合した作品と言えるでしょう。彼らのキャリアの中でも重要な一枚として、多くのファンに愛され続けています。

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