血管内皮

血管内皮について

血管内皮（けっかんないひ、endothelium）は、血管の内側を構成する扁平で薄い細胞の層であり、血液が循環する血管内腔と直接接触しています。この内皮細胞は心臓から毛細血管まで、全ての循環器系の内壁に並んでいることが特徴です。特に小さな血管や毛細血管では、内皮細胞は単一の細胞型で構成されています。

内皮細胞の役割

内皮細胞は血管生物学において非常に重要な役割を果たしています。主な機能には以下のようなものがあります。

1. 血圧のコントロール: 血管は収縮と拡張を通じて血圧を調整します。内皮細胞が出す因子は、血管の緊張状態を決定する上で重要です。
2. 血液凝固の調整: 血栓症やフィブリン溶解に関与し、血液の流れを保つために重要です。
3. 動脈硬化の進行: アテローム性動脈硬化において、内皮機能の低下が動脈の硬化を促進します。
4. 血管新生（angiogenesis）: 新しい血管の形成を促す過程で、内皮細胞は中心的な役割を果たします。
5. 炎症の制御: 内皮細胞は炎症の発生や腫胀（浮腫）に大きく関与しています。

内皮細胞はまた、血流の内外への物質輸送や白血球の通過を調整するフィルタリング機能も持っています。このような特化した内皮細胞は、腎臓の糸球体や血液脳関門など特定の器官で見られます。

内皮機能障害

血管内皮の機能は、さまざまな疾患によって低下することがあります。特に影響を受けやすいのが、、、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、慢性腎臓病、動脈硬化性疾患、心不全などです。これらの疾患の存在は、内皮機能障害の程度を測定することで心血管病の独立した予測因子となることが分かっています。

また、リンパ系にもリンパ管内皮が存在し、こちらも重要な機能を果たします。

関連項目と文献

先のように、血管内皮はさまざまな病理状態に影響されるため、研究が進められています。以下は関連する項目や研究の参考文献です。

• - 血管内皮細胞増殖因子（VEGF）
• - 内皮由来弛緩因子（EDRF）
• - ノーベル賞受賞者ロバート・ファーチゴット（EDRFの発見による）
• - カベオラやワイベル・パラード小体、内皮の微粒子（Endothelial microparticles）
• - 心内膜や浮腫に関する研究も関連性があります。

このような視点から、内皮細胞に関する研究は今後さらに進展し、心血管系の健康維持に寄与することが期待されています。

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