行基寺

行基寺（ぎょうきじ）

行基寺は、岐阜県海津市南濃町に位置し、浄土宗に属する寺院で、臥龍山という山号を持っています。この寺は、一般に「月見寺」や「隠れ城」、「お月見の寺」としても知られ、行基入定の地としての伝承も存在します。また、美濃高須藩の藩主である松平氏の菩提寺としての役割を担っています。寺の本尊は阿弥陀如来です。

概要

行基寺は、養老山地の中腹に位置し、堂々とした本堂、大書院、小書院、庫裡、さらに松平家の廟所が設けられています。そのため、寺院というより城郭風の伽藍に見えることから、訪れる人々に圧倒的な存在感を印象付けます。特に、緊急時には藩の城として利用されていたとも言われ、そのためか、小規模ながらも堅固な要塞のような雰囲気を漂わせています。また、1705年（宝永2年）に造られた美しい回廊式庭園は、一般公開されており、有料で見学することができます。庫裡にある月見の間からは、濃尾平野を一望できる美しい景色が広がります。

沿革

行基寺の創建は遥か古く、744年（天平16年）とされています。当時、行基がこの地区で発生した洪水の影響を目の当たりにし、聖武天皇に願をかけて人々のために寺を建立したとの伝承があります。行基の生涯については、一般的な説では668年（天智天皇7年）に生まれ、749年（天平21年）に入滅しましたが、行基寺の主張によれば、677年（天武天皇6年）に生まれ、757年にこの地で亡くなったとされ、まさにこの場所に彼の遺体が埋められていると伝えられています。

その後、1336年（延元元年）には結城友定により焼失しましたが、正平年間に再建されます。1702年（元禄15年）には、美濃高須藩の藩主松平義行が当寺を菩提寺に定め、大規模な改修工事を行いました。1709年（宝永6年）にその工事が完了し、1820年（文政3年）には山門が建設されます。現存する本堂は、1832年（天保3年）に再建されたものです。明治維新以前は、一般人の参拝が禁止されていました。

文化財

行基寺には、岐阜県の重要文化財に指定されている板碑が存在します。この板碑は行基入定の地とされる行基塚の上に建てられており、1377年（永和3年）の年号が刻まれています。同じく、自然石で作られた副碑には行基菩薩の入定に関する内容が記されています。

また、一光三尊弥陀仏や高須藩主歴代の墓、さらには七重塔があり、地域の文化財としても重要視されています。行基寺は海津市の名勝にも指定されています。

アクセスと周辺情報

この寺は岐阜県海津市南濃町上野河戸1024-1に位置しています。交通手段としては、養老鉄道養老線の駒野駅からタクシーで15分、また美濃山崎駅からは徒歩で約45分の距離です。

周囲には、菩提山寒窗禪寺や道の駅・月見の里・南濃、北ノ会古墳群、南濃温泉・水晶の湯、さらには羽根谷だんだん公園や山崎の滝などの観光スポットが点在しており、行基寺の訪問と合わせて楽しむことができます。

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