行心

行心（ぎょうしん／こうじん）

行心は、飛鳥時代に活躍した僧であり、新羅から日本に渡来したとされています。その生没年は不詳ですが、彼の人生や行動は記録に残されており、特に大津皇子の謀反に関与したことで知られています。行心の存在は、当時の日本における宗教や政治の交わりを示す一つの証でもあります。

謀反への関与

『日本書紀』第30巻には、行心が朱鳥元年（686年）10月に発生した大津皇子の謀反に関与したとして、他の30人以上の者と共に捕縛されたと記されています。多くの者は大津皇子との関係から赦免されましたが、行心に関しては具体的な扱いが記されており、彼もやはり大津に縁（えにし）がある者として罪を逃れられました。しかし、彼はその後、飛騨国の伽藍に移されたとされています。このような運命は、彼の宗教的立場や政治情勢の中での役割を考察する鍵となります。

予知能力とその告げ

また、『懐風藻』では、行心が天文や卜筮（ぼくぜい）を解する能力を持っていたとされています。具体的には、大津皇子に「太子の骨法これ人臣の相にあらず、これをもって久しく下位に在るは恐らくは身を全うせざらん」と告げたとされ、その結果、彼の逆謀を勧めたことが記録されています。これにより、行心は「姧豎」（かんじゅ）と罵られることになるなど、いくつかの否定的な評価も受けることになりました。

行心と隆観

『続日本紀』第2巻には、行心に似た僧である隆観についての記述もあります。隆観は「流僧幸甚（るそうこうじん）の子なり」と記載されており、ここでの「幸甚」は行心を指しているのではないかとも考えられています。このように、行心の存在は他の歴史上の人物とも結びついており、彼の影響力を示しています。

まとめ

行心は、飛鳥時代の宗教的な枠組みの中で重要な役割を果たしたと考えられています。新羅からの渡来人であり、謀反への関与や予知能力から、彼の名前は歴史に刻まれました。彼の生涯や行動は、当時の日本の政治や宗教を深く理解する手助けとなる重要な資料であり、今後の研究にも期待が寄せられるところです。彼の残した足跡は、後世にわたって考察され続けるでしょう。

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