行方郡 (福島県)

行方郡（なめかたぐん）とは

行方郡は、古代から明治時代にかけて、現在の福島県東部に存在した郡です。その歴史は8世紀にまで遡り、1896年に相馬[[郡]]に統合されるまで、この地域に重要な役割を果たしました。

郡域

行方郡は、行政区画として発足した1879年当時、現在の南相馬市と相馬[[郡]]飯舘村の領域を管轄していました。この地域は、古代から豊かな歴史と文化を育んできた場所です。

歴史

『先代旧事本紀』の「国造本紀」には、浮田国造と染羽国造という二つの国造が登場しますが、行方郡に対応する国造は記されていません。地理的な位置から、行方郡はこれらの国造が治めていたクニの一部を分割して新設されたと考えられています。

7世紀に設置された当初は行方評（なめかたのこおり）と呼ばれ、701年に郡に改められました。史料に初めて登場するのは718年であり、遅くともこの頃には成立していたことがわかります。興味深いことに、常陸国にも同名の行方郡が存在します。これは、この地域が常陸国からの移民によって開拓された可能性を示唆しています。

古代の郡衙は、新田川の河口付近、現在の南相馬市原町区泉にある泉官衙遺跡と推定されています。また、位置は不明ながら、行方団という軍団も置かれていました。

平安時代の郷

平安時代の『和名類聚抄』によると、行方郡には吉名、大江、多珂、子鶴、真欨、真野の6つの郷がありました。また、泉官衙遺跡からは「嶋□郷」と書かれた8世紀の木簡が出土しており、奈良時代にはもう一つの郷が存在したと考えられています。

近代以降の沿革

幕末時点で行方郡は陸奥国に属し、全域が中村藩の領地でした。

明治維新後、行方郡は以下の変遷をたどります。

1868年：中村藩主が領土を安堵される。
1869年：陸奥国が分割され、磐城国に所属。
1871年：廃藩置県により中村県、後に平県の管轄となる。
1872年：平県が磐前県に改称。
1876年：福島県の管轄となる。
1879年：郡区町村編制法により、行政区画としての行方郡が発足。

この間、いくつかの村の合併や分割が行われ、1889年には町村制が施行されました。

町村制以降の沿革

1889年、町村制の施行により、行方郡には以下の16村が発足しました。

鹿島村
原町村
小高村
上真野村
八沢村
真野村
高平村
石神村
太田村
大甕村
金房村
福浦村
新舘村
大須村
飯曽村
石橋村

これらの村は、現在の南相馬市や飯舘村の一部となっています。

行方郡の終焉

1896年、郡制の実施に伴い、行方郡は宇多郡とともに相馬[[郡]]に統合され、その歴史を閉じました。

変遷表

行方郡の変遷は、以下の表にまとめられます。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 7 福島県、角川書店、1981年
平川南『東北「海道」の古代史』、岩波書店、2012年
藤木海『南相馬に躍動する古代の郡役所　泉官衙遺跡』、新泉社、2016年
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

消滅した郡の一覧
行方[[郡 (茨城県)]]

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