表現者 (雑誌)

『表現者』とは

『表現者』（ひょうげんしゃ、Espressivo）は、2005年6月から2017年12月まで発行された日本の隔月刊論壇誌です。月刊誌『発言者』の後継誌として、イプシロン出版企画から創刊されました。「與論形成に寄与する真正保守総合誌」を標榜し、「真正保守」の思想を追求していました。

創刊から終刊まで

顧問には西部邁が就任し、編集委員や顧問らによる座談会を多く掲載していました。2017年11月、西部が顧問を退任し、執筆活動からも引退。これに伴い、西部の実務を担当していた長女の西部智子も引退しました。2018年1月号（第75号）をもって『表現者』は「第1期」を終了しました。その直後、創刊者である西部邁が自裁するという悲劇に見舞われました。

後継誌『表現者クライテリオン』

『表現者』の「第2期」として、2018年3月号から『表現者クライテリオン』（表現者criterion）に改題され、新創刊されました。編集体制も一新され、藤井聡内閣官房参与・京都大学大学院教授が新編集長に就任しました。同誌編集委員会はメールマガジンの配信を開始し、西部邁の死とその後について、編集長としての考えを示しました。2018年5月号では「特集　西部邁　永訣の歌」と題し、西部を追悼する特集号を刊行しました。

編集部と執筆者

『表現者』の編集部は、顧問に西部邁、佐伯啓思、編集委員には富岡幸一郎（代表）、前田雅之、宮本光晴、佐藤洋二郎、西村幸祐、杉原志啓、中島岳志、柴山桂太などが名を連ねていました。執筆者としては、西部邁、佐伯啓思、富岡幸一郎、黒鉄ヒロシ、柴山桂太、浜崎洋介、藤井聡、伊藤貫、施光恒、村上正泰、榊原英資、三浦小太郎、澤村修治、東谷暁、原洋之介、前田雅之、杉原志啓、寺脇研、佐藤健志、井口時男、小浜逸郎、クライン孝子、富岡幸雄など、多岐にわたる分野の論客が参加していました。連載企画も多数あり、西部邁の「憶い出の人々」「保守思想の辞典」、榊原英資の「榊原英資の日本改造論」、三浦小太郎の「保守人権派宣言」などが掲載されていました。

執筆者間の内紛

『表現者クライテリオン』の編集長に就任した藤井聡に対し、中野剛志は激しい批判を展開しました。中野は、藤井の言論や行動を「デタラメ」「全体主義的」と非難し、その学識や人格を疑問視しました。中野は、藤井が新型コロナウイルス感染症に関する言説や政策に対して、科学的根拠を欠いた主張や扇動的な言動を行っていると指摘しました。また、藤井が自らの主張のために、誰とでも手を組み利用しようとする姿勢を批判しました。

刊行協力会と版元

刊行協力会は、代表幹事を榊原英資が務め、幹事には寺島実郎が名を連ねていました。『表現者』の版元は、創刊当初のイプシロン出版企画から、ジョルダン株式会社、MXエンターテインメント株式会社へと変遷しました。『表現者クライテリオン』は、啓文社書房、ビジネス社へと版元が移っています。

別冊とCM

『表現者』の別冊として、西部邁と宮崎学による共著『酒場の真剣話』が刊行されました。また、不定期の増刊号として『別冊クライテリオン』も発行されました。東京メトロポリタンテレビジョンのトーク番組『西部邁ゼミナール』内では、本誌のタイムCMが放送されていました。

まとめ

『表現者』は、真正保守思想を掲げ、多岐にわたる論客を擁した論壇誌であり、その終刊後も後継誌『表現者クライテリオン』によって、その思想は受け継がれています。しかし、後継誌では、創刊者である西部邁の思想を無批判に継承するのではなく、批判的な視点も取り入れ、新たな展開を見せています。また、執筆者間の対立も表面化し、論壇誌としての緊張感も保たれています。

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