袁保恒

袁保恒（えん ほこう、Yuan Baoheng、1827年 - 1878年）は、字を小午といい、清朝末期の官僚でした。彼は袁甲三の子であり、後の政治家・軍人である袁世凱の従父にあたります。河南省項城の出身です。

1850年、袁保恒は科挙に合格し進士となると、翰林院に入り庶吉士に選ばれました。その後、編修という職に就いています。父である袁甲三が太平天国と捻軍の反乱鎮圧のために出征すると、袁保恒もこれに従軍しました。

1857年、袁保恒は亳州の包囲を解くことに成功し、さらに捻軍の根拠地であった雉河集を攻撃して大きな戦果を上げました。翌1858年には、捻軍の将であった李大喜や孫葵心を次々と破り、その功績によってバトゥルの称号を授けられました。1859年に一時的に北京に戻りますが、翌年には再び父である袁甲三の軍に加わり、定遠の攻略に貢献しました。その後、1862年には、侍読、侍講、庶子と立て続けに昇進し、1863年に父・袁甲三が亡くなると、侍講学士に任命されました。

1868年、捻軍が北京に迫ると、袁保恒は李鴻章から軍を委ねられ、その鎮圧にあたりました。その後、陝甘総督であった左宗棠による回民蜂起鎮圧の際には、軍の食糧補給を担当し、兵站面で重要な役割を果たしました。1874年には内閣学士・戸部侍郎に昇進し、翌年には北京に戻りました。1876年には刑部侍郎に異動しています。

1877年、河南省で深刻な旱魃が発生し、その対策にあたっていた袁保恒でしたが、翌年、視察中に疫病にかかり、その生涯を閉じました。死後、その功績を称えられ、文誠の諡号が贈られました。

袁保恒は、武官としても文官としても優れた能力を発揮し、清朝末期の動乱期に重要な役割を果たした人物でした。特に、軍事面では、太平天国や捻軍の鎮圧に貢献し、その武勇と指揮能力は高く評価されています。また、文官としては、行政能力にも優れ、食糧補給といった後方支援にも尽力しました。彼の生涯は、動乱の時代における官僚のあり方を示すものと言えるでしょう。

出典
『清史稿』巻418・列伝205

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