袋形動物

袋形動物（ふくろがたどうぶつ）

袋形動物とは、かつて存在した動物門であり、代表的な特徴として偽体腔を持つことが挙げられます。これにより、かつては異なるグループがこの門にまとめられましたが、現在ではその定義や分類が大きく見直されています。

概説

袋形動物は、元々は異なる動物群から成り立っていたが、偽体腔の存在という共通特徴から一つの門として扱われました。現在はその多くが別の分類に再編されつつあり、この動物群に対する理解が深まる中で、さまざまな論議が展開されています。

含まれる群

袋形動物に含まれていた主な群は、以下の通りです:
1. 輪虫類（輪形動物）
2. 腹毛類（腹毛動物）
3. 線虫類（線形動物）
4. 線形虫類（類線形動物）
5. 鉤頭虫類（鉤頭動物）
6. トゲカワ類（動吻動物）
7. プリアプルス類（鰓曳動物）

また、これ以外にも内肛動物を含めることがあったとされています。

動物の特徴

岡田（1974）によると、袋形動物は以下の特徴を持っています:

• - 体は左右対称で短い円筒状や糸状となり、時には放射相称の前体部を持つことがあります。
• - 体表はクチクラや外甲に覆われ、毛や剛毛、場合によっては繊毛が存在します。
• - 偽体腔が存在します。
• - 消化系は発達した咽頭を持つことがあり、一部の種は寄生性ではありません。
• - 排出系は原腎管を持ちますが、すべてに備わっているわけではない群もあります。

これらの特徴は種によって異なり、一概にまとめることが難しいことが分かります。また、袋形動物は、その系統的地位として扁形動物と環形動物の間に位置すると考えられています。

系統と分類

内田（1974）の分類体系によれば、袋形動物門は次のような亜門と綱に分けられます:

Phylum Aschelminthes - 袋形動物門

• - Subphylum Arhynchaschelminthes - 無吻袋虫亜門

- Class Rotatiria - 輪虫綱
- Class Gastrotricha - 腹毛綱
- Class Nematoda - 線虫綱
- Class Nematomorpha - 線形虫綱

• - Subphylum Rhynchaschelminthes - 有吻袋虫亜門

- Class Kinorhyncha - 動吻綱
- Class Priapuloidea - プリアプルス綱
- Class Acanthocephala - 鉤頭虫綱

歴史的背景

この分類名は19世紀にさかのぼり、飯島魁が「動物学提要」でこの呼称を取り上げました。元々は線形動物と輪形動物を中心に扱われていましたが、研究の進展に伴い、その内容や分類が改められました。特に、自由生活をする線虫類の多様性や構造の違いが明らかになり、袋形動物の概念が再考されるようになったのです。

近年では、袋形動物に近い新しい分類や群の発見が進む中で、偽体腔動物の進化に関する多様な理論が提唱されています。これにより、従来の考え方を覆すような研究も進展しています。

現在の特性

現在の見解では、袋形動物は多系統性を持つと広く認められており、このことは分類学上、問題視されることが多いです。体腔の進化についても、真体腔動物への進化過程が考えられていますが、異なる見解も存在しています。

このように、袋形動物は長い歴史と多様な議論を抱えた動物群であり、今後の研究によってその理解はさらに深まっていくでしょう。

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