被服整理学

被服学整理学（ひふくせいりがく）

被服学整理学は、被服学の中で衣類の素材や状態を整えることに焦点を当てる学問分野です。この分野名の「整理」という言葉は、元来、布地の表面のキメや風合い、すなわち質感を調整・向上させるという意味合いを含んでいました。そのため、初期の研究は主に、衣料品の洗浄や加工といった技術領域に力が入れられていました。

今日においては、この学問は、様々な物質の境界面で生じる物理的・化学的現象（界面現象）を応用科学として深く探求する方向に進化しています。これにより、研究テーマは洗浄、加工に加え、染色技術や色彩科学といった領域にも広がり、衣類の生産から消費、そして維持管理に至るまで、広範な技術や科学的原理を総合的に研究対象としています。

衣類を清潔に保ち、その品質を維持するための洗浄や手入れといった行為は、消費者が被服を使用する上で非常に重要な要素です。こうした衣類の管理という側面に注目し、これを体系的に捉える視点から、「被服管理学」という名称でこの分野が扱われることもあります。

関連する産業分野

被服学整理学の研究は、実際には様々な産業と深く結びついています。代表的な関連産業としては、「染色整理業」や「洗濯業」などが挙げられます。

日本標準産業分類（総務省統計局）によると、これらの産業は以下のように分類されています。

製造業（大分類F）
繊維工業（中分類11）
染色整理業（小分類116）

染色整理業は、綿や麻、絹、人造繊維などの糸や織物、ニット、レース、その他の繊維製品に対して、精練（汚れを除去する工程）、漂白、染色（色を付ける）、そして整理仕上げ（風合いや機能を付与する最終加工）といった一連の処理を行う事業所を指します。このうち、精練、漂白、染色、整理仕上げの全工程を機械で行う場合は「機械染色整理業」と呼ばれます。

一方、染色工程の精練、漂白、浸染、なっ染といった主要な部分を主として人力で行う場合は「手加工染色整理業」に分類されます。たとえ加工品の最終的な整理仕上げ工程が機械化されていても、染色工程が人力を主体としている場合は、手加工染色整理業として扱われます。

染色整理業の細分類には、綿・スフ・麻織物、絹・人絹織物、毛織物、ニット・レース、繊維雑品など、扱う素材や製品の種類に応じた専門分野（例えば、1161綿・スフ・麻織物機械染色業、1165織物手加工染色整理業、1167ニット・レース染色整理業など）が存在します。

サービス業（他に分類されないもの）（大分類Q）
洗濯・理容・美容・浴場業（中分類82）
洗濯業（小分類821）

この中分類には、個人に対して身の回りの清潔を保つためのサービスを提供する事業所が含まれており、洗濯業もその一部です。洗濯業は、一般的な衣類の洗濯サービスを行う「普通洗濯業（8211）」、顧客から洗濯物を受け取り、専門業者に取り次ぐ「洗濯物取次業（8212）」、ホテルやレストランなどにリネン類を貸し出すとともに洗濯を行う「リネンサプライ業（8213）」などに細分化されます。

また、同じ中分類82の「その他の洗濯・理容・美容・浴場業（小分類829）」の中には、「洗張・染物業（8291）」が含まれており、これは和服などの洗いや染め直しを行う事業を指し、これも衣類の状態を整えるという点で関連が深いです。

関連項目

被服、被服学、被服学科、被服科、界面化学

外部リンク

社団法人 日本家政学会 被服整理学部会
界面活性剤の種類 Webサイト「生活環境化学の部屋」

もう一度検索