日本標準産業分類

日本標準産業分類（JSIC）とは

日本標準産業分類（Japan Standard Industrial Classification、JSIC）は、日本における産業活動を分類するための基準です。総務省が所管しており、統計調査の結果を産業別に表示する際の基準として、1949年（昭和24年）に制定されました。その後、社会経済情勢の変化に合わせて改定が重ねられ、現在の産業構造を反映したものとなっています。

分類の概要

JSICは、すべての経済活動を、大分類、中分類、小分類、細分類の4段階に体系的に分類しています。これにより、農業、建設業、製造業、卸売業、小売業、金融業、医療、福祉、教育、宗教、公務など、あらゆる産業分野を網羅的に捉えることが可能です。この詳細な分類体系は、産業構造の現状把握や経済分析、政策立案において重要な役割を果たしています。

制定と改定の経緯

制定当初、各統計調査で用いられる産業分類が統一されていなかったため、統計法に基づき、JSICが制定されました。これにより、指定統計において産業別の統計を公表する際には、この分類に基づいて結果を公表することが義務付けられました。2007年の統計法改正により、指定統計は基幹統計となりましたが、JSICの産業分類に関する規定は引き続き適用されています。

また、JSICは、法律や補助金における業種分類の参照基準として用いられることもあります。ただし、国勢調査などでは、社会通念上の業種認識とJSICの分類との間に乖離が見られるケースもあります。例えば、電気店を「電気業」（本来は小売業）と回答する例などが挙げられます。

JSICは、総務省が統計委員会の答申を受けて定期的に改定しています。直近では、2023年7月に改定が行われ、2024年4月から施行されました。以下は、過去の主な改定履歴です。

1949年（昭和24年）10月 設定
1951年（昭和26年）4月 第1回改定
1953年（昭和28年）3月 第2回改定
1954年（昭和29年）2月 第3回改定
1957年（昭和32年）5月 第4回改定
1963年（昭和38年）1月 第5回改定
1967年（昭和42年）5月 第6回改定
1972年（昭和47年）3月 第7回改定
1976年（昭和51年）5月 第8回改定
1984年（昭和59年）1月 第9回改定
1993年（平成5年）10月 第10回改定
2002年（平成14年）3月 第11回改定
2007年（平成19年）11月 第12回改定
2013年（平成25年）10月 第13回改定
2023年（令和5年）7月 第14回改定

主な分類項目

以下に、JSICの大分類の例を挙げます。

A - 農業、林業
B - 漁業
C - 鉱業、採石業、砂利採取業
D - 建設業
E - 製造業
F - 電気・ガス・熱供給・水道業
G - 情報[[通信業]]
H - 運輸業、郵便業
I - 卸売業、小売業
J - 金融業、保険業
K - 不動産業、物品賃貸業
L - 学術研究、専門・技術サービス業
M - 宿泊業、飲食サービス業
N - 生活関連サービス業、娯楽業
O - 教育、学習支援業
P - 医療、福祉
Q - 複合サービス事業
R - サービス業（他に分類されないもの）
S - 公務（他に分類されるものを除く）
T - 分類不能の産業

各分類内には、さらに詳細な中分類、小分類、細分類が設けられています。例えば、「L - 学術研究、専門・技術サービス業」には、学術・開発研究機関、専門サービス業、広告業、技術サービス業などが含まれます。また、「N - 生活関連サービス業、娯楽業」には、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、娯楽業が含まれており、特に「娯楽業」には、映画館、興行場、競輪場、遊園地、ゲームセンターなど、多様な業種がまとめられています。

活用と留意点

JSICは、公的統計の作成だけでなく、企業の事業内容を正確に把握するためのツールとしても活用されています。ただし、実際の現場では、JSICの分類と事業者の認識との間にずれが生じることがあります。そのため、JSICを適用する際には、分類の定義を正確に理解し、必要に応じて専門家の意見を求めることが重要です。

参考情報

[総務省]]統計局「日本標準産業分類」: [公式ウェブサイト

関連情報

産業: 経済活動を営む分野。
業態: 事業活動の形態。
統計: 大量のデータを収集・分析すること。
分類: 物事を種類や性質によって分けること。


これらの情報が、日本標準産業分類を理解する上で役立つことを願います。

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