袷

袷（あわせ）とは

袷（あわせ）とは、裏地をつけた長着（ながぎ：丈の長い着物）のことです。裏地の無いものは「単（ひとえ）」と呼ばれ、区別されます。

袷の着用時期

衣替えの慣習では、袷は10月から5月にかけて着用するものとされています。しかし、近年ではウールなど保温性の高い素材で作られた単衣が登場したり、暖房器具が普及したことで、真冬のみ袷を着用する人もいます。

袷の構造

袷の裏地には、滑りの良い平絹（へいけん）やキュプラなどが用いられます。裏地は、胴裏（どううら：身頃部分の裏地）、八掛（はっかけ：裾部分の裏地）、袖裏（そでうら）の3つに分けられます。八掛と袖裏は着用時に表から見えることが多いため、表地と色柄の調和がとれた別布が用いられることが一般的です。特に、戦前までの女性用長着の胴裏には、紅絹（もみ）という赤い絹の布が使われていました。

「袷の羽織」や「袷の襦袢」といった種類も存在します。

袷の歴史

室町時代以降の小袖（こそで）において、「袷」は綿（わた）の入っていない裏地付きのものを指し、冬用の綿入れ小袖と区別されていました。昭和30年代頃までは、裏地つきの洋服を和服になぞらえて「袷仕立て」と呼ぶこともありました。

無垢仕立て（むくじたて）

婚礼用の振袖や留袖など、格式の高い着物では、表地と裏地に同じ生地を用いることがあります。これを「無垢仕立て」と呼び、特に婚礼用の重ね着衣装を「白無垢（しろむく）」といいます。

胴抜き（どうぬき）

袷を簡略化し、胴の部分のみを単衣仕立てにしたものを「人形仕立て」といいます。これは洋服の仕立てにちなんだ呼び名で、「胴抜き」とも呼ばれます。人形着物の襟や袖、裾を袷風にして身頃の裏地をつけないことから、この名がつきました。

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