裴璆

裴璆（はい きゅう）について

裴璆（877年頃? - 不明）は、中国の渤海において官人や外交官として活動した人物であり、彼の活動は日本との外交関係にも大きく寄与しました。彼は特に894年の渤海使・裴頲の子として知られていますが、その経歴は国際的な視野を持った外交官としての資質を示しています。以下に彼の主な派遣や業績について詳述します。

日本への派遣

初回の派遣（907年 - 908年）

裴璆は907年に日本への派遣を受け、伯耆国に上陸します。彼の到着を受けて、都からも重要人物が伯耆国に派遣され、双方の交流が始まりました。908年1月8日には、彼の到着が都に報告され、その後、彼は日本の宮廷での饗応を受ける機会を得ました。そこで、彼は父・裴遡からの手紙を賜って、渤海との深い結びつきを感じたことだと思います。

特に、一度目の饗応では天候が悪化し、再度の饗応が必要になるなど、彼の訪問は単なる外交活動ではなく、予期せぬ展開を生むものでもありました。この経験は裴璆の外交能力を証明する出来事でした。

再度の派遣（919年 - 920年）

919年、裴璆は再び日本に派遣され、若狭国に到着しました。彼らの到着が都に伝えられたのは11月18日でした。この際、既に彼の役割は重要視されており、朝廷側からの接待が行われました。しかし、松原客館に到着した際は、冷遇を受け、その状況が彼にとってどれほど厳しいものであったかを理解できます。あくまで友好的な交流が求められる時代において、外交官が直面する危機を物語っています。

その後、彼は入京し様々な贈り物を受ける一方、自らも貢ぎ物を進めましたが、特筆すべきは彼が受けた称号の数々です。彼の名声は、単に出身国である渤海のみならず、日本の宮廷においても重要な存在であったことを示しています。

東丹国使としての活動（926年）

926年、裴璆は再び日本に派遣され、今度は東丹国の使者としての任務を受けます。このとき、彼がなぜ東丹国の使者であるかを問われ、回答する場面は特に興味深いものです。「本は渤海人だったが、今は降って東丹の臣」と述べた彼は、自らの立場を明確にしつつ、過去の関係を紐解こうとしました。このような発言から、裴璆の外交戦略を垣間見ることができます。

裴璆の影響と文化的意義

裴璆の活動は、単に物品を贈る外交の一翼を担っただけでなく、国家間の理解を深めるための基盤を築く役割も果たしました。彼の訪問の際には、多くの日本の詩人たちが彼の帰国に寄せた感謝の意を詠むなど、文化的な交流も促進されました。

当時の文献には、裴璆に関する多くの記録が残されており、後の時代の人々にも彼の影響が伝わっています。裴璆の足跡は、渤海だけでなく、日本、そして後の国際関係においても重要な一章を成すものとなるのです。このような歴史の中で、裴璆が果たした役割を再評価することは、国際関係のあり方を考える上でも極めて重要です。

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