褚民誼

褚民誼について

褚民誼（ちょ みんぎ、1884年1月17日 - 1946年8月23日）は、中華民国の政治家、外交官、医者として広く知られています。彼は中国国民党の主要なメンバーの一人であり、多くの重要な役職を歴任しました。もともと名医として知られた父親、褚吉田のもとに生まれた彼は、士大夫の家に育ちました。初めは旧式の教育を受けましたが、のちに英語や理数系の学問にも取り組みました。

欧州での活動

褚は1903年に日本留学を開始し、日本大学で政治経済学を学びました。この時期に革命思想に目覚め、1906年には同郷の張静江と共に中国同盟会に参加しました。フランスでは、友人たちと共に中国印書局を創設し、革命的な刊行物を発行して社会の変革を促進しました。1911年、辛亥革命によって上海での革命派の勝利を目にし、帰国しました。この時に汪兆銘や陳璧君と知り合い、彼の人生において重要な人々となりました。

1912年には同盟会本部の総務長に就任しますが、間もなく国民党への改編に失望しベルギーに留学し、その後も欧州での活動を続けました。彼はフランスで「華法教育会」を設立し、中国人留学生への支援を行いました。また、1920年にはリヨン中法大学を設立し、医療を学ぶ傍ら、教育にも積極的に関与しました。

国民党での活動

1924年には帰国し、広東大学の教授や広東医学院院長などの職務を務め、教育分野での重要な役割を果たしました。1926年には国民党の中央候補執行委員に選出され、党の政治活動に深く関与し、北伐には軍医長として参加しました。その後は公衆衛生研究のために欧州を訪れ、国民衛生建設委員会の委員長に任命されるなど、様々な分野で功績を残しました。1932年には汪兆銘の下で行政院秘書長に任命されました。

1937年、上海が日本軍に陥落した後も褚は中法国立工学院に留まり、親日政府の樹立に関与しました。1940年には南京国民政府にて行政院副院長兼外交部部长に任命され、日本との外交交渉を主に担当しました。また、彼は昭和天皇からも高い勲章を授与されるなど、国際的な地位も確保しました。

南京国民政府での活動と晩年

南京国民政府では、汪兆銘を支持する派閥の一員として活動し、汪の死後にはその後任とも対立しました。1945年には広東省長に任命されましたが、日本の敗北後、褚は蔣介石に従順な姿勢を取りました。しかし、最終的には彼は逮捕され、漢奸の罪で死刑を宣告され、1946年に処刑されることとなりました。褚民誼の生涯は、政治と教育における彼の貢献とともに、国民党内の複雑な人間関係と政治的変遷を反映しています。

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