襄王 (周)

襄王（じょうおう）

襄王は、周朝第18代の王であり、恵王の子として生まれました。彼の生涯は、王位継承を巡る争いと、周辺異民族との複雑な関係に彩られています。

生涯

襄王の父である恵王は、前妻の死後、後妻である恵后を娶りました。恵后との間に生まれた姫帯（叔帯、甘昭公）を寵愛したため、襄王は自身の王位継承が危ぶまれるのではないかと恐れていました。恵王25年（前652年）に恵王が崩御すると、襄王は喪を伏せ、斉に使者を送って支援を求め、即位を果たしました。

襄王3年（前649年）、異母弟の叔帯は戎や翟と謀り、襄王を攻撃しました。襄王は叔帯を誅殺しようとしましたが、叔帯は斉に逃亡しました。斉の桓公は管仲に周と戎を和解させ、隰朋に晋と戎を和解させました。襄王12年（前640年）には、叔帯が周に復帰しました。

襄王13年（前639年）、鄭が滑を征伐した際、襄王は游孫伯と伯犕を遣わして滑の地を献上するよう求めましたが、鄭は二人を捕えてしまいました。襄王はこれに怒り、鄭を征伐しようとしましたが、文官の富辰が諫めました。しかし、襄王は聞き入れず、翌年（前637年）には翟軍を率いて鄭を攻撃しました。この時、襄王は翟人の娘を娶り（翟后）としました。

襄王16年（前636年）、襄王が翟后を退けたことに怒った翟后は、恵后の子である叔帯を立てようと考え、恵后、翟后、叔帯が内通して、戎と翟を迎え入れ、襄王を放逐して叔帯を天子に即位させました。襄王は鄭へ逃れ、汜に身を寄せました。

翌年の襄王17年（前635年）、襄王は晋に救援を求めました。晋の文公は戎と翟を放逐し、叔帯を誅殺したため、襄王は王位に復帰することができました。襄王は晋の文公に伯の位と河内の地を与え、その功績に報いました。

襄王32年（前620年）に襄王は崩御し、子の壬臣（頃王）が跡を継ぎました。

襄王の時代背景

襄王の時代は、周王室の権威が低下し、諸侯の力が強大化していく時代でした。襄王自身も、異母弟との争いや、周辺異民族との関係に翻弄され、その治世は安定を欠きました。しかし、斉や晋といった有力な諸侯の支援を受け、なんとか王位を維持しました。この時代は、春秋時代と呼ばれる戦乱の時代の幕開けを告げるものであり、襄王の生涯は、そのような激動の時代を象徴するものとして捉えることができます。

まとめ

襄王は、周朝の権威が衰退していく中で、自身の王位を守るために奔走した王でした。異母弟との王位争い、周辺異民族との複雑な関係、そして有力諸侯の台頭といった様々な困難に直面しながらも、最終的には王位を回復し、その生涯を終えました。彼の治世は、春秋時代の幕開けを告げる激動の時代を象徴するものであり、後世の歴史に大きな影響を与えました。

参考資料

『春秋左氏伝』（僖公）
『史記』（周本紀、匈奴列伝）

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