襄王 (韓)

襄王の治世とその背景

襄王（じょうおう）は、中国の戦国時代における韓の君主であり、正確な生年は不明ですが、紀元前296年に急死したことが歴史に記録されています。彼は宣恵王の子であり、紀元前312年に父の死去に伴い韓王に即位しました。彼の治世は、戦国時代の激動の中で展開され、多くの国々との複雑な関係が絡んでいました。

登場と初期の記録

襄王が王位に就いた当初、韓は他国との対立が高まる中でた初期の課題を抱えていました。紀元前308年、彼は秦の武王と臨晋で会合し、重要な同盟を結ぶ試みに出ました。しかし、その年の秋、韓は秦の甘茂による襲撃を受け、宜陽を失陥しました。この出来事は、韓の力の低下を象徴するものであり、王の初期の戦略に暗い影を落としました。

攻撃の絶え間ない日々

紀元前307年には、再度秦から大規模な攻撃を受け、宜陽を再び失い、6万人もの兵士が斬首されるという惨事が発生しました。こうした中、彼は忠実な側近や軍を動員し、周囲の国々との関係構築に努めました。次第に、彼は敵国である秦を相手に果敢に戦う姿勢を見せることになります。

紀元前306年には、秦が武遂を一時的に返還してきましたが、その後再び奪還されるなど、彼の治世における秦との衝突は続きました。襄王は外交手段を駆使し、同盟を結ぶ過程で戦局を優位に進めるための努力を重ねました。

太子の問題と混乱

紀元前300年、襄王の太子であった嬰が死去し、王位を巡る争いが生じます。公子咎と公子蟣蝨の二人の公子が太子の座を争い、特に公子蟣蝨は楚に人質として取られており、楚の機嫌を取ることで太子位を狙おうとしました。こうした混乱の中で、襄王は国家の安定を図ることに苦慮していました。

外交戦略の展開

紀元前299年、楚の軍が雍氏を包囲した事態に直面した襄王は秦に援軍を要請します。その間に、公孫眜が韓に入国し、斉と楚との連合を提案しました。これにより、楚軍の包囲は解かれ、韓は公子咎を太子に正式に任命することとなります。

同年には、斉の湣王や魏の襄王が韓を訪問し、これを機に韓と他国との連携を強化しました。そして紀元前298年には、斉王や魏王の軍と共同で秦を攻撃するという大規模な軍事行動に出ました。この連合軍は函谷関で布陣し、韓が再び力を取り戻すきっかけを掴むことになるのです。

最後の時

襄王は紀元前296年に亡くなり、在位は16年でした。その治世は、数々の戦争や政争、外交交渉を経て形作られました。彼の後任には、太子嬰の死による混乱の結果、韓は新たに公子咎が太子に選ばれ、政局は新たな局面を迎えることになります。襄王の死は、戦国時代の更なる混迷を引き起こす要因ともなり、韓にとって重要な転機となりました。

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