湣王

湣王の生涯

湣王（びんおう、? - 紀元前284年）は、中国戦国時代の斉（田斉）の第6代君主であり、父・宣王の死去に伴い紀元前300年に即位しました。彼の本名は地であり、姓は嬀、氏は田です。湣王は父から引き継いだ権力を背景に、領土の拡大に努めました。

即位と初期の出来事

湣王が即位した後、彼の父宣王の葬儀が盛大に行われるべきだと進言したのは、有名な策略家蘇秦でした。この進言の狙いは、斉の財力を疲弊させることでしたが、結果的に蘇秦は暗殺されてしまいます。しかし、彼は死ぬ間際に湣王に刺客をおびき出す方法を伝授し、その計略に基づいて蘇秦の遺体を公開処刑しました。この一件により、湣王は功績を挙げました。

領土拡大の策略

湣王は領土を拡大するため、さまざまな軍事戦略を実行しました。例えば、紀元前317年には宋を攻め、紀元前314年には内乱を起こした燕に便乗して攻撃を仕掛けました。ここで湣王は燕王噲を討ち取り、領土を拡大しました。

また、湣王の下で秦と共に楚を討つ活動も盛んに行われ、紀元前299年には楚の軍を打ち破り、紀元前297年には韓・魏と共同で秦を攻撃しました。最終的には、湣王は紀元前288年、東帝を名乗ることになりますが、彼は蘇代の助言を受けてその称号を返上し、名声を高めるために宋に対する戦争に注力することにしました。

戦争と高慢

湣王は宋を完全に滅ぼした紀元前286年以降、その権力に高慢になりました。結果として、彼は以前から仕えていた孟嘗君を疎ましく思い、彼を殺そうと考えるようになります。それに対抗して、孟嘗君は紀元前284年に魏へと逃亡し、対策を講じザ・。

楽毅との戦い

湣王の強大化は他国に恨みを抱かせる要因となり、特に燕の昭王からの復讐心は強まりました。彼は楚・趙・魏・韓・秦と同盟を結び、紀元前284年に燕の楽毅を総大将とする連合軍を結成。この軍勢が斉を攻撃した際、湣王は次々と降伏する城の喪失を体験しました。

最終的には、湣王は臨淄を失い、残されたのは2つの城だけとなりました。楽毅の軍勢に対抗するために、湣王はなんとか抵抗を試みましたが、楚の将軍・淖歯に襲撃され、命を落としました。彼の死は、当時の斉にとって大きな打撃となりました。

死後の影響

湣王の死後、燕でも内紛や権力闘争が続き、楽毅は趙に逃れることになります。この混乱の中で、田単が燕の軍を打ち破り、奪われていた領土を取り戻しましたが、斉の繁栄を取り戻すことはできませんでした。湣王の統治は、領土拡大の成功と急速な転落が印象的に織り交ぜられたものでした。戦国時代における混沌とした時代の象徴として、彼の存在は長きに亘って語り継がれます。

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