西インド連邦

西インド連邦

西インド連邦は、1958年から1962年までの短い期間に存在した、イギリス連邦内の自治領連合です。カリブ海に位置する西インド諸島のイギリス植民地が集まり、連邦制を採用していました。この連邦は、当初、単一の独立国家として発展することを目指していましたが、構成地域間の連携がうまくいかず、わずか4年で解散という結末を迎えました。

成立の背景と概要

カリブ海地域におけるイギリス植民地の独立運動は、第二次世界大戦以前から存在していました。しかし、大戦後、島嶼地域が連合して独立するという構想が具体化しました。1956年には英領カリブ連邦法が成立し、各植民地が連合。外交と防衛を除く自治権を持つ半独立国として、将来的な独立を目指してスタートを切りました。

国家元首はイギリスの君主であるエリザベス2世が務め、政体としては国王が国防と連邦財政を管轄しました。連邦には二院制の議会が設けられ、各領域に議席が割り当てられました。

解散に至る経緯

しかし、西インド連邦は発足当初から多くの問題を抱えていました。領域がカリブ海の各地に散在しているため地理的にまとまりがなく、構成する島々によって人種、産業、政治制度、歴史が大きく異なっていました。特に、国の中心的な役割を担うトリニダード島とジャマイカ島の間は1,500キロメートルも離れており、地域間の連携を困難にしていました。

これらの問題は構成地域間の対立として表面化し、特に国家運営の方法をめぐってトリニダード・トバゴとジャマイカの対立が深刻化しました。1961年、ジャマイカとトリニダード・トバゴが相次いで連邦からの離脱と単独での独立を決定。これにより、国の二大中枢を失った連邦は事実上崩壊し、翌1962年に解散。各島は再びイギリスの植民地に戻りました。

短命に終わった連邦の遺産

短命に終わった西インド連邦でしたが、その遺産は現在にも残っています。連邦で使用されていた通貨である西インド諸島ドルは、東カリブ・ドルと名前を変え、現在でも多くの旧連邦構成国で共通通貨として使用されています。

構成国

アンティグア・バーブーダ
イギリス領ジャマイカ
ケイマン諸島
ジャマイカ
タークス・カイコス諸島
グレナダ
セントクリストファー＝ネイビス＝アンギラ
アンギラ
セントクリストファー・ネイビス
セントビンセントおよびグレナディーン諸島
セントルシア
ドミニカ
トリニダード・トバゴ
バルバドス
モントセラト

関連項目

イギリス連邦
イギリスの海外領土
カリブ共同体（CARICOM）
西インド諸島ドル
東カリブ・ドル

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