西公園 (仙台市)

西公園：仙台の都心に広がる歴史と自然のオアシス

仙台市青葉区桜ヶ岡公園に位置する西公園は、広瀬川の左岸に沿って広がる、仙台市内で最も歴史の古い都市公園です。正式名称は「西公園」ですが、所在地から「桜ヶ岡公園」と誤解されることも少なくありません。

公園の立地と景観

西公園は、広瀬川を挟んで青葉山公園と向かい合い、隣接する定禅寺通と共に仙台の象徴的な景観を形成しています。勾当台公園に次ぐ規模を誇り、年間を通して多くのイベントが開催され、市民に親しまれる憩いの場となっています。

園内には約190本の桜が植えられており、春には花見客で賑わいを見せます。また、国内で唯一保存されているC60形蒸気機関車も、公園のシンボルとして多くの人々を魅了しています。

公園の周囲は、西側が広瀬川、北側が仙台市民会館、東側が西公園通、南側が大町通に囲まれた、都会の中にありながら自然豊かな環境です。公園の中央部を東西に貫く立町新丁は、上下2層構造の仲の瀬橋によって構成されており、上層は一般道、下層は国道48号仙台西道路として機能しています。

公園の地形は、西南部が広瀬川に近い河岸段丘である仙台下町段丘、その他は仙台中町段丘の上に位置し、両者の間の段丘崖（仲の町崖）が地形的な特徴となっています。立町新丁によって南北に分割された中町段丘面により、公園は大きく3つのエリアに区分されています。

広瀬川対岸には、青葉山公園、仙台城跡、仙台市博物館などの文化施設や教育機関が集中しており、西公園は文教・公園地区の中核を担っています。

歴史の重みと変遷

16世紀までは原野であったと考えられる西公園の敷地は、江戸時代には仙台藩士の武家屋敷が立ち並ぶ地域でした。屋敷の規模は、家臣の地位によって異なり、本柳町に面した小さな区画には中級家臣、広大な敷地には上級家臣が居住していました。白石の片倉氏や、伊達安房の屋敷があったことも記録に残されています。下町段丘部分は、伊達家直属の従者である小人の居住地「上中ノ町」でした。

戊辰戦争後の廃藩置県により、藩士の屋敷は次々と取り壊され、その跡地には櫻岡大神宮や料亭、芝居小屋などが建設されました。1873年（明治6年）、太政官布達に基づき、宮城県がこれらの土地を取得し、1875年（明治8年）に「桜ヶ岡公園」として開園しました。その後、仙台市東部に「榴岡公園」が整備されたことに伴い、「桜ヶ岡公園」は「西公園」と呼ばれるようになりました。

開園以来、西公園は博覧会の会場として利用されるなど、仙台を代表する公園として発展を遂げました。しかし、第二次世界大戦中の仙台空襲では園内施設が焼失し、空襲で家を失った人々が戦後しばらくの間、公園内の防空壕に居住していました。戦後の復興期には、仙台偕行社や常盤木学園高等女学校の移転、上中ノ町の住民の転居に伴い、公園が拡張されました。拡張部分の名称を公募した結果、「西公園」という名称が選ばれ、現在の広がりとなりました。

その後も、仙台西道路の建設や仙台市地下鉄東西線の開通に伴う再整備が行われ、西公園は現代に合わせた変化を遂げながら、歴史と自然を融合させた貴重な空間として、市民に愛され続けています。

施設とイベント

西公園には、C60形蒸気機関車の保存車両、戦災復興記念塔「こけし塔」、彫刻作品、日時計など、見どころが豊富です。公園外になりますが、隣接する仙台市民会館、櫻岡大神宮、源吾茶屋なども、西公園エリアの重要なランドマークとなっています。

年間を通して様々なイベントが開催されており、春の花見、夏の仙台七夕花火祭、秋の植木市、冬のSENDAI光のページェントなど、季節ごとに異なる魅力を楽しめます。

アクセス

仙台市地下鉄東西線の大町西公園駅西1出口に直結しており、アクセスも良好です。また、南北線の勾当台公園駅、広瀬通駅から徒歩圏内です。

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