西出雲駅

島根県出雲市に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）山陰本線の駅。かつては知井宮（ちいみや）駅という名称で、1993年に現在の西出雲駅に改称されました。後藤総合車両所出雲支所が隣接しており、山陰本線の伯耆大山方面からの電化区間の終端駅でもあります。特急「スーパーまつかぜ」の一部列車が停車するなど、地域における重要な拠点の一つです。

駅の構造と設備

西出雲駅は、地上に設けられた島式ホーム1面2線を持つ駅で、列車同士の行き違いや追い越しが可能です。駅構内には、この他に旅客の乗降には使用されない、回送列車などが待機するための着発線も存在します。線路は東西方向にまっすぐ伸びており、ホームへは駅の南北から屋根付きの跨線橋を経由してアクセスします。

駅施設に関しては、現在は松江駅が管理する無人駅となっています。かつては北口側に駅舎がありましたが、現在は解体されており、代わりに1999年に完成した南口側の待合室が利用の中心となっています。乗車券の購入については、跨線橋内に設置された自動券売機が利用できます。

のりばは北側から順に、1番のりば（上り本線）、2番のりば（下り本線および上り副本線）が島式ホームの両面に割り当てられています。ホームのない3番着発線は上下副本線として機能します。また、1番のりばの出雲市駅方には、工事用車両の留置に用いられる材料線と安全側線も備えられています。

歴史をたどる

西出雲駅は、1913年（大正2年）11月21日、鉄道院山陰本線の出雲今市駅（現・出雲市駅）から小田駅までの延伸時に、知井宮駅として開業しました。当初から旅客と貨物の両方を取り扱う駅でした。

駅の発展において大きな節目となったのは、1982年（昭和57年）7月1日の伯耆大山駅方面からの電化です。これにより、構内が電化されました。しかし、時代の流れと共に駅の機能も変化します。1986年（昭和61年）11月1日には貨物取扱が廃止され、同時に無人駅となりました。この頃、特急「やくも」の一部列車が当駅発着となるも、当駅と出雲市駅間は普通列車扱いでした。

翌1987年（昭和62年）4月1日の国鉄分割民営化に伴い、JR西日本へ移管。この際に一時的に再び有人駅化されましたが、1990年（平成2年）3月10日には再度無人駅に戻されています。

駅名が現在の「西出雲駅」に改称されたのは1993年（平成5年）3月18日です。この駅名変更の直前には、無人駅としてのサービス向上の一環として、乗車駅証明書発行機が設置されています。

1990年代後半からは、駅周辺の整備が進みました。1998年（平成10年）には南口駅前広場やホームと南北出入口を結ぶ屋根付き跨線橋が完成。1999年（平成11年）には南口側に待合室が設けられ、利便性が向上しました。

運行面では、2008年（平成20年）3月15日のダイヤ改正で、特急「スーパーまつかぜ」が一日一往復停車するようになり、地域交通における重要性が改めて示されました。一方で、出雲市駅との間を結んでいた快速列車（「とっとりライナー」「通勤ライナー」）は、この改正以降に順次廃止されました。2013年（平成25年）11月21日には、開業から100周年を迎え、記念イベントが開催されています。

特徴的な運行形態と後藤総合車両所

西出雲駅構内は電化されているものの、停車する定期列車の多くは気動車によるものです。電車による旅客列車は、主に米子駅方面からのごく一部に限られています。特急「やくも」については、当駅までは回送列車として運転されています。

隣接する後藤総合車両所出雲支所の存在は、西出雲駅の運行形態に影響を与えてきました。電化以降、「やくも」が車両基地への出入庫を兼ねて、当駅まで普通列車として運転されていた時期がありました。さらに特異な例としては、1987年（昭和62年）10月から1988年（昭和63年）3月にかけての短期間、東京からの寝台特急「出雲3号」が、出雲市駅到着後、そのまま種別を普通列車に変更して当駅まで運転されていたことがあります。これは、昼行特急の末端区間を普通列車とする例はいくつかあるものの、寝台特急としては極めて珍しい運行形態でした。現在では、浜田・益田方面を発着する特急列車が1往復停車する形に落ち着いています。

2006年（平成18年）3月18日のダイヤ改正からは、出雲市駅と当駅の間を回送として運転されていた気動車列車の一部が、旅客扱いを行うようになりました。これにより、特に最終列車は日付を跨いでの運行が可能となっています。

利用状況と駅周辺の変遷

西出雲駅の利用状況は、近年は比較的安定しています。2022年度の1日平均乗車人員は239人でした。過去のデータと比較すると、2004年度が248人、1994年度が173人、1984年度が100人となっており、長期的に見れば利用客数は増加傾向にあったものの、直近では大きな変化は見られません。

駅周辺は、かつてと比べて大きく様変わりしています。かつて北口側にのみ駅舎があり、南側は田園地帯が広がっていました。駅南西には工場があり、その貨物輸送も当駅で行われていましたが、工場閉鎖と貨物取扱廃止後、跡地は住宅地へと転換しました。このような変化を受け、南口側の地域再開発が進められました。

現在の南口側には、ホテル、地ビールレストラン、温水プールなどの施設に加え、トキの分散飼育施設、植物園、看護専門学校、老人福祉施設などが整備されています。バス路線についても変化があり、以前は一畑バスが乗り入れていましたが、現在はスサノオ観光が運行を担っています。北口側には、かつて旅館や農協支所なども見られました。

また、出雲市駅との間には神戸川が流れています。駅の益田方には、山陰本線の車両整備拠点である後藤総合車両所出雲支所が隣接しており、伯耆大山駅から続く電化区間の架線もこの車両所まで延びています。なお、ICカード乗車券「ICOCA」は出雲市駅までが利用可能エリアであり、当駅では利用できません。当駅より西側の山陰本線は非電化区間となります。

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