西北研究所

西北研究所について

西北研究所（せいほくけんきゅうじょ）は、1944年に内モンゴルの張家口に設立された日本の研究機関です。この機関は当時、日本軍占領下にあった地域で少数民族に関する研究を目的としていました。設立は善隣協会の調査部を改編した形で行われ、当時の大東亜省の管理下に置かれていました。

設立の背景

この研究所は、特に満州やモンゴルの生態学や民族学的な調査を行うことを主な業務としていました。設立時のリーダーシップには、退役軍人の土橋一次が機関長として就任し、今西錦司が所長、石田英一郎が次長にそれぞれ就任しました。

興味深い点は「西北」という名称の由来ですが、一般的には、新疆や甘粛地方を指しており、この地域への日本軍の進出を意識したものであると考えられています。この研究所は先行する民族研究所の姉妹機関としても位置づけられており、岡正雄の関与があるとされています。

主な研究活動

西北研究所では、いくつかのプロジェクトが展開されました。特に今西錦司や梅棹忠夫らによるモンゴルに関する研究や、佐口透・岩村忍によるイスラーム研究が行われ、多くの場合、民族研究所との共同プロジェクトとして進められました。しかし、設立の翌年である1945年には日本の敗戦が影響し、研究所は廃止されてしまいました。

これにより、活動期間は短くなってしまい、目立った業績を成し遂げることはできませんでしたが、所長の今西を含む研究者たちが「京都学派」として知られるフィールドワーカーの集まりを形成していたことは、後の研究に影響を与える要素となりました。興味深いのは、所員たちは日本に研究成果を持ち帰ることが許されていたため、この期間の調査結果は戦後に多くの学術論文へと結実したとされています。

組織構成

西北研究所は理系の第1課と文系の第2課から成り立っていました。これにより、多角的なアプローチで研究が進められるような体制が整えられていました。

所長には民族学の専門家である今西錦司が、次長には同じく民族学の石田英一郎が就任し、それぞれの専門性を活かして研究活動が展開されました。所員にはさまざまな背景を持つ研究者が揃い、フィールドでの調査活動に励んでいました。

参考文献及び関連項目

西北研究所に関する資料や回想は多く残されており、それに関する著作も存在しています。磯野富士子や梅棹忠夫といった著者の回想録は、この研究所に関心を持つ者にとって、貴重な情報源となるでしょう。また、内陸アジア学の視点からの考察も行われており、関連する研究機関についても検討が進められています。各種の論文や書籍は、この貴重な機関の研究活動を理解する手助けとなるでしょう。

このように、西北研究所は短命ながらも日本における民族学の研究の礎を築いた重要な機関であったと言えます。

もう一度検索