西原借款

西原借款の概要

西原借款（にしはらしゃっかん）は、20世紀初頭の大正時代における日本の重要な外交金融政策の一つです。この借款は、当時の中国である中華民国の北京政府に対して行われたもので、主に段祺瑞政権に関連していました。契約の交渉には、寺内正毅首相の側近である西原亀三が関与しており、彼の名前がこの借款の由来となっています。

借款の詳細

西原借款は、1917年1月に始まり、その後1918年にかけて実施されました。金額としては、最初の借款500万円が日本興業銀行、朝鮮銀行、台湾銀行から供与され、その後も追加で合計1億4500万円に達する借款が行われました。この時期、日本は軍備拡張のため年間維持費が6億円と見込んでおり、そのための資金調達が急務でした。加えて、3208万円の武器供与も実施されています。

特に、1917年の1月20日には、日本興業銀行などが交通銀行（中国）へ500万円の借款を供与する契約を結び、9月28日にはさらに2000万円の借款を供与しました。1918年には3つの種類の借款が、それぞれ2000万円ずつ供与されました。

政策的背景

この借款は、日本が中国において列強との協調を示す一環として行われ、そのため政府の外交ルートを介さずに西原が「個人」として交渉を行いました。また、これらの銀行は従来の横浜正金銀行に代わって日本興業銀行らが担当しました。中国側では新交通系の政治家である曹汝霖が交渉に当たりましたが、借款は名目上は鉄道や鉱山、森林の発展のためとされていました。

実際には、資金は段祺瑞派の軍費に流用され、その結果、段祺瑞が1920年に失脚したことでほとんど償還されませんでした。このため日本と中国の双方で政府に対する批判の材料にもなりました。

経済的意図

勝田主計の子息、勝田龍夫によると、西原借款は中国の通貨改革を基盤にした長期的な計画に従って進められ、そのために借款総額は5億円を見込んでいたとされています。具体的には、西原は段祺瑞政権に対して日本円と同等の金券を発行させ、朝鮮銀行と交通銀行の金券を相互通用可能にすることで実質的な通貨統合を目指していたとされています。しかし、中国側には警戒感が強く、交渉は難航を極めました。

まとめ

西原借款は、日本と中国との関係における一つの節目であり、金融的な側面だけでなく、政治的な影響をも併せ持つものでした。この借款は、両国間のさまざまな問題を引き起こし、結果的に重要な歴史的事象となりました。

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