西吟

西吟（さいぎん）とは

西吟は、江戸時代前期に活躍した浄土真宗の学僧であり、彼の名前は宗門史において特に重要な役割を果たしています。彼は1605年、豊前国小倉の永照寺の住職である西秀の子として誕生し、浄土真宗本願寺派の初代能化としても知られています。西吟の諡（おくりな）は成規院、号は照黙です。彼は永照寺の第6世住職を引き継ぎ、ここで教義の深化と信仰の拡張に努めました。

生涯と学び

西吟は若い頃から熱心に学問に励みました。紀伊国性応寺の了尊に師事し、さらには上洛して東福寺で禅を学ぶなど、様々な宗教的な探求を行いました。また、故郷に戻った際には宗乗について研究を積み重ね、その知識を蓄えていきました。1647年には能化職に就任し、本願寺学寮の基本的な方針や学生（所化）の生活様式を整備しました。

承応の鬩牆

西吟の学僧としての名声と影響力は、承応の鬩牆と呼ばれる論争を通じて更に強固なものとなりました。この論争では、彼の兄弟子である月感が、彼の教えの中に禅理を取り入れたことを批判しました。この批判は、宗派間の対立を引き起こし、西本願寺と興正寺との間での紛争にまで発展しました。最終的には江戸幕府が介入する事態に発展し、月感は敗れ、出雲国に流されることとなります。しかし、この論争の結果、西吟が能化を務めていた学寮自体も破却されることとなりました。

学寮の運営とその後

学寮の破却後、西本願寺は本山を借り上げて教育活動を継続しましたが、学寮という名称を使うことはできず、以降は「学林」と呼ばれるようになりました。このようにして、彼の教育活動は形を変えながらも続けられていくのです。

初代能化の位置付け

西本願寺における初代能化についての記録は不明瞭な点も多く、史料によって異なる評価がなされています。ある資料では准玄が初代能化とされている一方で、他の資料では西吟を初代能化として位置付けています。たとえば、龍谷大学所蔵の『能化講主勧学名帖』では、西吟が初代能化として明記され、学寮・学林を同大学の前身と考える立場では、准玄も歴代能化の一人として数えられています。

総括

西吟は江戸時代における浄土真宗の発展に多大な貢献をした学僧として記憶されており、彼の学びと意見は後の浄土真宗における教育や教義に影響を与えました。特に、彼の能化としての役割や、教えを巡る論争は、宗教史においても重要なエピソードとして言及されています。彼の功績は、現代においても浄土真宗の教義理解や教育の基盤となり続けています。

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