西園寺一晃

西園寺一晃（さいおんじ かずてる、1942年 - ）は、日本のフリーランスジャーナリストであり、元朝日新聞東京本社総合研究センター主任研究員として知られています。彼の経歴は、中国と日本の架け橋となるような独特なものでした。

中国での青春時代

東京都で生まれた西園寺は、1958年に家族と共に中華人民共和国へ移住し、北京で10年間を過ごしました。この時期、彼は文化大革命という中国社会を大きく揺るがす出来事を経験します。1967年には北京大学経済学部政治経済科を卒業し、同年日本へ帰国しました。

ジャーナリストとしての活躍

帰国後、西園寺は1971年に『青春の北京』を刊行し、同年朝日新聞東京本社へ入社。調査研究室に勤務し、その後、同社総合研究センター主任研究員などを歴任しました。朝日新聞社では、中国の動向分析や研究に携わり、中国に関する深い知識と見識を培いました。

退職後の活動

朝日新聞社を定年退職した後も、西園寺は日本と中国の友好関係促進に尽力しました。日本中国友好協会全国本部副理事長や東京都日中友好協会副会長などを務めたほか、北京大学日本研究センター在外研究員、椙山女学園大学客員教授、工学院大学客員教授、慶応義塾大学非常勤講師など、教育機関での活動も積極的に行いました。また、工学院大学内に設けられた孔子学院の学院長も務めました。2019年現在、東日本国際大学客員教授として教鞭をとっています。

人物像

西園寺は、中国共産党の宣伝機関であるとされる「孔子学院」の院長を務めていたことが、『週刊文春』で批判的に報道されたことがあります。しかし、彼の長年にわたる日中友好への貢献は否定できません。

華麗なる家系

西園寺の家系は、日本の歴史に名を残す人物を多く輩出しています。曽祖父は総理大臣、元老の西園寺公望。また、曽祖父は長州藩第14代藩主で、明治維新後は公爵となった毛利元徳です。祖父の西園寺八郎は元徳の子で、伊藤博文らの仲介で公望の養子となりました。父は公爵で参議院議員の西園寺公一、母は元芸者の西園寺雪江、弟は西園寺彬弘という家族構成です。外交官の武者小路公共や政治学者の武者小路公秀も親戚にあたります。

著書

西園寺は、中国に関する著書を多数執筆しています。

『青春の北京 北京留学の十年』（1971年、中央公論社）
『中国辺境をゆく』（日本交通公社出版事業局、1982年）
『鄧穎超――妻として同志として』（1999年、潮出版社）
『「周恩来と池田大作」の一期一会』（2012年、潮出版社）
『西園寺兄弟の体験的中国案内』（西園寺彬弘共著／1972年、実業之日本社・新書）
『知ってほしい中国の暮らし』（西園寺雪江共著／文化出版局、1972年）

また、監修として南開大学周恩来研究センター『周恩来と池田大作』にも携わっています。

西園寺一晃は、激動の時代を背景に、中国と日本という二つの国を見つめ、その関係の発展に貢献した人物として、記憶されるでしょう。

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