西岡剛 (投手)

西岡 剛

1964年6月16日、大阪府八尾市で生まれた西岡剛は、右投右打の元プロ野球投手である。恵まれた長身から繰り出す速球は、アマチュア時代から大きな注目を集めた。

アマチュア野球での輝き

近畿大学附属高校のエースとして、3年生時の1982年夏には全国高校野球選手権大会大阪府予選の決勝までチームを導いた。優勝候補の一角と見なされていたが、決勝では春日丘高校に敗れ、甲子園出場は叶わなかった。

1983年に近畿大学に進学後、3年生となった1985年から本格的にエースとして活躍。春季リーグ戦では優勝に貢献したが、全日本大学野球選手権大会の代表決定戦では涙を飲んだ。しかし、秋季リーグ戦を制し、明治神宮野球大会への出場権を獲得した。

最上級生として迎えた1986年は、春・秋ともに立命館大学との激しい優勝争いを展開。古田敦也らを擁するライバル校に惜敗する形となったが、個人としては圧巻の成績を残した。関西学生リーグ通算で36試合に登板し、17勝7敗、防御率1.64を記録。特に208個の三振を奪い、「西の奪三振王」としてその名を轟かせた。最優秀投手2回、最優秀選手1回、ベストナイン1回にも選出されるなど、輝かしい実績を残した。武器は長身から投げ下ろされる威力のある速球と、打者の手元で鋭く落ちるフォークボールだった。大学の同期には内野手の畑山俊二、1年下には投手の山内嘉弘がいた。

プロ入り後のキャリア

そのアマチュア時代の実績が高く評価され、1986年のプロ野球ドラフト会議でヤクルトスワローズから単独1位指名を受け入団。鳴り物入りでのプロ入りとなった。

プロ1年目の1987年から一軍登板の機会を得る。特に印象深いのが、同年10月17日に行われた読売ジャイアンツ戦だ。この試合は、歴史ある後楽園球場で行われる最後のプロ野球ナイターとして注目を集めた。西岡は先発マウンドに上がり、8回まで相手打線を無失点に抑える見事なピッチングを披露。勝利投手の権利を目前にしながら、0対0で迎えた9回二死、原辰徳にサヨナラヒットを浴び、惜しくも敗戦投手となった。プロでのキャリアを振り返る上で、この試合での力投は語り継がれる一場面となった。

1991年には、海外での経験を積むため、アメリカ合衆国のマイナーリーグにあたるMLB 1Aのサリナス・スパーズに野球留学した。

ヤクルトでの数年間では、アマチュア時代のような dominating な投球をコンスタントに披露するには至らなかった。そして1992年オフ、オリックス・ブルーウェーブの森浩二投手との交換トレードで関西の球団へ移籍することとなる。しかし、オリックスでは残念ながら一軍での登板機会を得ることができず、ユニフォームを着たままベンチを温める日々が続いた。結局、プロ入りから一度も勝利を挙げることはできず、1994年シーズン限りで現役を引退することを決断した。

まとめ

高校、大学と常に注目を浴び、特に大学時代には「西の奪三振王」と呼ばれるほどの実績を残した西岡剛。ドラフト1位で華々しくプロ入りを果たしたが、怪我やフォームの問題などもあり、プロのマウンドではそのポテンシャルを十分に開花させることはできなかった。後楽園球場での最後のナイターでの力投など、光る場面もあったが、一度も白星を手にすることなくプロ野球選手としてのキャリアを終えた。アマチュア時代の輝きとプロでの苦闘、その対比が彼の野球人生を特徴づけている。

記録

初登板: 1987年6月14日、対読売ジャイアンツ11回戦（後楽園球場）。5回裏から3番手で救援登板し、2回1失点。
初先発登板: 1987年10月12日、対中日ドラゴンズ25回戦（ナゴヤ球場）。2回4失点（自責点3）で敗戦投手。
初完投: 1987年10月17日、対読売ジャイアンツ26回戦（後楽園球場）。8回1/3を1失点に抑えるも、サヨナラ負けで敗戦投手。

背番号の変遷

ヤクルトスワローズ: 21 (1987年 - 1990年)
ヤクルトスワローズ: 43 (1991年 - 1992年途中)
オリックス・ブルーウェーブ: 50 (1993年 - 1994年)

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