西川如見

西川如見（にしかわ じょけん）

西川如見は、江戸時代中期の天文学者であり、その生涯は1648年から1724年まででした。肥前長崎の商家に生まれ、幼少期から学問に親しみました。父も天文学者であった西川忠益であり、その影響を受けて天文への関心を深めました。如見は、忠英という名を持ち、次郎右衛門という通称で知られていました。また、恕軒、恕見という別名や、求林斎、金梅庵、淵梅軒といった居号も持っていました。

学問の道

25歳頃から、儒学者の南部草寿に和漢の学問を学び、その後、林吉右衛門門下の小林義信に師事し、天文、暦算、測量学を修めました。如見は、自然の摂理と人間社会の両方を研究対象とする自身の学問を「天学」と名付けました。

主要な業績

1695年、48歳の時に、日本で初めての世界地誌である『華夷通商考』を著しました。この著作は、当時の世界観を広げる上で大きな役割を果たしました。1697年に隠居し、著述に専念し、1708年には『増補華夷通商考』を刊行。この増補版では、南北アメリカ大陸が日本で初めて紹介され、地理学の発展に貢献しました。

如見は、中国の天文学説を基本としつつ、ヨーロッパの天文学説の特徴も理解しており、その知識を自身の著作に反映させました。1718年には江戸に赴き、翌年、8代将軍徳川吉宗から天文に関する質問を受けました。その後、長崎に戻り、1724年に77歳で生涯を閉じました。

多岐にわたる著述

如見は、天文学や地理学だけでなく、社会や生活に関する啓蒙書も数多く執筆しました。主な著書として以下のようなものがあります。

『華夷通商考』：日本初の本格的な世界地誌。
『両儀集説』：天文学の入門書で、西洋天文学と中国天文学の比較が記述されています。
『両儀集説外記 天文義論』：西洋天文学と中国天文学の比較評論。
『四十二国人物図』：欧州の絵を模写したものに解説を加えた人物図。
『教童暦談』：天文暦学書で、運気論が含まれます。
『町人嚢』：町民の心得や教訓を説いた啓蒙書。
『百姓嚢』：農民向けの生活心得を説いた啓蒙書。
『日本水土考』：日本国内および世界の地理を解説した書。
* 『長崎夜話草』：長崎の地誌で、如見の談話を息子が筆録したものです。

これらの著作は、当時の人々に大きな影響を与え、後世の研究者にも貴重な資料として活用されています。如見の著作をまとめた全集として『西川如見遺書』が刊行されており、岩波文庫にもいくつかの著作が収録されています。

子孫の活躍

如見の息子である西川正休（忠次郎）もまた、天文学の分野で活躍しました。彼は、ティコ・ブラーエなどの西洋天文学を初めて紹介した『天経或問』に注釈を加え、出版しました。また、改暦の際には天文方に任命されています。

また、子孫には、東京築地活版製造所の役員を務めた西川忠亮がいます。初代西川忠亮は、貿易業で成功し、印刷用インキの国産化に貢献しました。彼の息子も家業を継ぎ、多方面で活躍しました。

その他の情報

如見の墓は、長崎の長照寺照山にあります。大正5年には、正五位が追贈されました。また、如見を題材としたテレビドラマも制作されており、その業績は今も語り継がれています。

まとめ

西川如見は、江戸時代中期において、天文学、地理学、啓蒙思想の分野で大きな足跡を残した人物です。その幅広い知識と、社会に対する貢献は、現代においても高く評価されています。

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