西平和大橋

西平和大橋：広島の戦後復興を映す橋

西平和大橋は、広島県広島市を流れる本川（旧太田川）に架かる道路橋です。広島平和記念公園の南西側に位置し、平和大通り筋に沿って東西方向に伸びています。東側にある平和大橋と対をなし、その歴史やデザイン構想などは平和大橋の情報と関連しています。

概要

西平和大橋は、かつてこの地に存在した「新大橋」が1945年の原爆投下とそれに続く水害により破壊された後、1952年に再建された橋です。旧「新大橋」は、こうの史代の漫画作品『夕凪の街』にも登場し、物語の中で重要な役割を果たしています。

橋の欄干は、日系アメリカ人彫刻家イサム・ノグチによる独特のデザインが施されています。このデザインは、平和大橋のものと共通しており、両橋を象徴する特徴となっています。西平和大橋の周辺には、緑大橋、本川橋、中島神崎橋といった他の橋梁も存在し、西詰には中国新聞本社ビル、そして広島電鉄江波線が通る寺町通りへと繋がっています。最寄りの電停は広電土橋停留場です。本川沿岸には、川の由来を記した碑も建てられています。

構造

西平和大橋は、以下の諸元を持ちます。

路線名: 広島市道比治山庚午線（平和大通り）
橋長: 101.9m
幅員: 15m
上部工: 5径間単純鋼鈑桁橋（リベット接合）
下部工: RC橋台2基、RCラーメン橋脚4基
基礎工: 橋台 - 杭基礎、橋脚 - 井筒基礎
* 設計: 建設省中国四国地方建設局

橋の建設は建設省が行われ、現在では広島市が所有・維持管理を行っています。戦後まもなく建設された橋であるため、当時の鋼橋に一般的なリベット接合工法が用いられています。これは、全溶接工法が採用された平和大橋とは対照的です。また、西平和大橋の方が平和大橋よりも橋長が1径間分長いという特徴も持ちます。

歴史

戦前、広島城下には藩政時代からの架橋規制があり、西部や北部からのアクセスは限られていました。明治時代になり規制が緩和されると、1873年に木造の「新大橋」が架けられました。その後、1919年の洪水で部分的に損傷し、1922年には鉄筋コンクリート桁橋に架け替えられました。1924年には、水道橋も建設され、市の東西を結ぶ重要なインフラが整備されました。1945年、原爆投下とそれに続く台風による水害により、「新大橋」は落橋しました。

戦後、丹下健三の都市計画に基づき、爆心地周辺の整備が進められ、平和大通りと平和公園が建設されました。西平和大橋と平和大橋は、この計画の一環として建設されました。橋の名称は一般公募で決定されました。1973年には、老朽化した水道橋が撤去されました。

西平和大橋は、完成から半世紀以上が経過し、老朽化が課題となっています。特に、歩道幅員が狭く、交通渋滞も発生しているため、架け替えが検討されています。しかし、高額な費用が課題となっており、実現には至っていません。2011年と2021年には、物損事故により欄干が破損する事故が発生しています。

まとめ

西平和大橋は、単なる橋梁ではなく、広島の戦後復興の歴史と都市計画を象徴する存在です。イサム・ノグチの芸術性、そして老朽化問題を抱える現状は、この橋が持つ複雑な歴史と未来を物語っています。今後の架け替え計画の行方も注目されます。

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