土橋停留場

土橋停留場：広島の路面電車を支える要衝

広島市中区堺町に位置する土橋停留場は、広島電鉄本線と江波線が接続する重要な路面電車停留場です。駅番号はM13。本線の停留場として大正元年(1912年)に開業し、当初は「土橋筋停留場」という名称でしたが、大正時代には現在の「土橋停留場」に改称されました。

歴史：戦争と復興を乗り越えて

開業当初、紙屋町方面への路線は十日市町を経由せず、南回りで左官町まで運行されていました。しかし、昭和18年(1943年)の江波線開通を機に、運行効率化のため、十日市町を経由する新路線が建設されました。従来の南回り路線は、道路幅が狭くカーブの連続する区間だったため、円滑な運行の妨げとなっていたのです。新路線は翌年開通、それまでの南回り路線は廃止されました。

昭和20年(1945年)の原爆投下により、広島電鉄の市内線は大きな被害を受け、運行を休止しました。しかし、己斐方面から順次復旧が進み、同年中には本線、2年後には江波線が営業を再開しました。その後も、平成25年(2013年)には9号線の運行が延長され土橋停留場にも乗り入れるようになり、平成26年(2014年)には停留場の改良工事が完了。令和4年(2022年)には係員による集札が廃止されるなど、時代とともに変化を遂げてきました。

停留場構造：近代化された設備

土橋停留場は、広島電鉄市内線の特徴である併用軌道上にホームが設置されています。本線と江波線が分岐する土橋町交差点上に位置し、本線は北と西、江波線は南へと伸びています。2面ある低床式ホームは、交差点の北側に相対式で配置され、東側に下りホーム（広電西広島駅・江波方面）、西側に上りホーム（広島駅方面）があります。昭和63年(1988年)4月に設置された上屋は、平成26年(2014年)のリニューアル工事で増設・拡幅されました。3連接車両の運行も多いことから、ホームは比較的長く設計されています。江波線舟入町寄りには、折り返し運転のための渡り線が設置されています。

運行系統：多くの路線が集まるハブ

土橋停留場には、広島電鉄の多くの路線が乗り入れています。本線では2号線、3号線、6号線、8号線、9号線、0号線が停車し、6号線、8号線、9号線は本線と江波線を直通しています。乗換客が多いことから、「乗換え指定電停」にも指定されています。

周辺環境：ビジネス街の中心

停留場周辺には、中国新聞社をはじめ、銀行や商業施設などが立ち並び、活気のある街並みが広がっています。停留場名の由来となった土橋町は「どばし」ではなく「どはし」と読みます。

隣の停留場

本線：十日市町停留場 - 土橋停留場 - 小網町停留場
江波線：（十日市町停留場）- 土橋停留場 - 舟入町停留場

昭和22年(1947年)までは、江波線には上舟入停留場も存在していました。

土橋停留場は、歴史と近代化が融合した、広島の路面電車を代表する停留場と言えるでしょう。交通の要衝として、これからも多くの市民の生活を支えていくことでしょう。

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