西武モハ351形電車

西武モハ351形電車について

西武モハ351形電車は、1960年から1965年の間に西武鉄道で運用されていた電車です。この車両は、日本国有鉄道（国鉄）から払い下げられたクモハ14形100番台の一部を基にして、新たに製造されたものです。全長は約17メートルで、2つの客用扉を有しています。

車両の導入背景

1950年代後半、西武鉄道は車両の運用を増強するため、新製車両の導入に加え、国鉄から廃車となった電車の払い下げを受ける方針を取っていました。これにより、輸送力の向上が図られていました。国鉄からは主に3扉構造の通勤電車が払い下げられていましたが、1960年7月に2扉構造のクモハ14形100番台が加わったのです。このクモハ14100は、国鉄では1944年に製造された木造台枠に鋼体を組み込んだもので、耐久性と安全性が考慮されていました。

モハ351形として導入されたこの車両は、唯一の1両のみが西武鉄道の運用に充てられました。その後、1964年には車両記号が変更され、クモハ351形352（2代目）となり、さらに1965年には荷物電車に改造され、クモニ1形2（2代目）として運行されました。

車体とデザイン

本形式の車体は、全長16,800mmの半鋼製で、2扉構造を持っています。内部は、国鉄在籍時と同様のボックスシートが設置されたセミクロスシート仕様で、西武鉄道では初めてのクロスシート仕様を持つ電車となりました。さらに、車体高は一般的な国鉄車両よりも105mm低く、トンネルでの運用を重視した設計となっています。

初期の塗装は下半分がマルーン、上半分がイエローの2色分けでスタートしましたが、1960年代後半には、ディープラズベリーとトニーベージュの組み合わせ、いわゆる「赤電塗装」に変更されました。

主要機器と運用

モハ351形は、導入当初は国鉄の電装品を転用し、制御車として運用されていましたが、1961年に再び電動車としての機能を持つようになりました。装備された主要機器には、間接自動制御装置や100kW級の主電動機が含まれています。また、制動装置にはAMAE電磁自動空気ブレーキが搭載され、安全性も確保されています。

この形式は主に池袋線系統に配属され、狭山線で運用されることが多かったものの、休日には臨時急行列車として狭山湖まで運行される時期もありました。クロスシート車としての機能が求められる一方で、利用状況から他のクロスシート車両の導入は行われず、結果的にモハ351形が唯一の存在となりました。

荷物電車への改造と廃車

1965年に荷物電車化されてからは、主に小手荷物輸送に利用され、新聞の運送などに活躍しました。しかし、1978年にはトラックにその役割が移行したため、モハ351形は廃車される運びとなりました。導入から廃車までの短い間ではありましたが、その独自の構造と運用歴は、多くの鉄道ファンの記憶に残ることでしょう。

このように、西武モハ351形電車は、特異なデザインと用途の変遷を持つ興味深い車両として、西武鉄道の歴史に名を刻んでいます。

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