西照寺 (愛西市)

西照寺の概要

西照寺（さいしょうじ）は、愛知県愛西市東條町に位置する真言宗智山派に属する寺院です。この寺院は名古屋市の別格本山である大須観音宝生院の末寺として、その歴史を持っています。西照寺の本尊は聖観音菩薩（聖観世音菩薩立像）であり、長い歴史を有する重要な寺院です。

沿革

西照寺の起源は、甚目寺（じもくじ）の西網之坊（にしあみのぼう）にさかのぼります。寺伝によると、開基は甚目龍麻呂（はだめたつまろ）で、推古天皇6年（598年）にこの寺院が開かれました。西網之坊は甚目家の末裔に属し、網之衆三家の一つとして歴史を刻んでいます。現在の住職は龍麻呂翁から数えて83代目にあたります。

市江村には古くから知られる遍照院が存在しましたが、織田信長の時代に長島一向一揆の前哨戦で焼失してしまいます。その際に本尊の薬師如来像は田圃に埋められて守られ、後に掘り出されて地域に安置されました。この薬師如来像は平安時代初期に制作されたもので、特徴的な造形を持っています。

薬師堂は遍照院の焼失後すぐに建立され、掘り出された薬師如来像や弘法大師像が祀られることになりました。また、江戸時代末期から大正時代にかけて、西照寺は地域の行政業務を担い、明治時代初期には「小学潜思学校」が創立されるなど、地域と深く関わってきました。

西網之坊の移転と西照寺の改名

西網之坊は度重なる自然災害に見舞われ、昭和9年（1934年）に現在の地に移転しました。その際に、東條の薬師堂が本堂として統合され、後に本尊として聖観音菩薩像が掲げられました。そして昭和17年（1942年）に「西照寺」という名称に改名されます。今もなお、愛西市の美しいハス畑の中で、西網之坊の伝統と信仰が息づいています。

本尊について

西照寺の本尊である聖観音菩薩立像は、作者が不明ながらも、壱尺四寸の一木造りで、古色を帯びた優美な姿をしています。左手には未開敷の蓮華を持ち、右手はその花びらを開こうとするポーズを取っています。優しい表情を持つ丸顔で、金色の舟形の光背が特徴的です。また、須弥壇の中央には弘法大師の坐像が置かれ、その両側には薬師如来立像と共に祀られています。

ご詠歌と文化財

西照寺には独自のご詠歌があります。この詠歌は聖観音菩薩を称え、静かなお姿が命の源であることを表現しています。「静かなる姿」は観音様の清らかさを象徴し、また「ほと」は泉や源を意味し、その存在が人々の心に深く根付いていることを示しています。

また、愛西市における有形文化財としては、木造薬師如来立像、厨子入木造聖観音菩薩立像、木造地蔵菩薩坐像などが指定されています。これらの作品は、地域の文化と歴史を今に伝える貴重なものです。

行事

西照寺では、毎月異なる行事が開催されています。御詠歌や写経会、刺し子ちくちく会など、様々なイベントが企画されています。年間行事としては、初参りや涅槃会、春彼岸供養、花まつり、盆供養などがあり、多くの人々に根付いた信仰の場となっています。地元の方々にとって、心の拠り所であり続ける西照寺は、今後もその役割を果たしていくことでしょう。

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