西野元

西野元

西野元（にしの げん、1875年11月29日 - 1950年8月3日）は、日本の大蔵官僚、政治家、銀行家として、明治から昭和にかけて活躍しました。その卓越した能力から「大蔵省の至宝」と称され、特に大蔵次官としての功績は高く評価されています。

生い立ちと初期のキャリア

茨城県に生まれた西野元は、父・西野元聿の長男として育ちました。水戸中学校、第一高等学校を経て、1902年7月に東京帝国大学法科大学政治学科を優等で卒業。この際、優秀な成績を収めた証として銀時計を授与されています。同年11月には、文官高等試験行政科試験に首席で合格し、その能力の高さを示しました。同年12月には、臨時秩禄処分調査局属兼大蔵属に任官し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。

大蔵省での活躍

1903年1月、大蔵省試補として総務局文書課に配属されて以降、西野元は様々な要職を歴任しました。税務監督局事務官兼大蔵書記官、兼大蔵省参事官、主計局予算決算課長、兼主計局司計課長、横浜税関長、大蔵省主計局長などを歴任し、その手腕を発揮。1922年6月には大蔵次官に就任し、1924年6月までその重責を担いました。

政治家、銀行家としての活動

大蔵次官退任後の1924年6月8日、西野元は貴族院勅選議員に任じられ、研究会に所属。1946年6月20日までその職を務めました。また、十五銀行頭取、日本勧業銀行総裁、枢密顧問官など、政財界の要職を歴任しました。特に、十五銀行頭取や日本勧業銀行総裁といった金融界での経験は、彼の多才さを示すものでしょう。

八八艦隊計画への提言

西野元は、大蔵省の官僚として、また、経済の専門家として、八八艦隊計画の非現実性を早くから認識していました。彼は、計画の遂行が困難であることを踏まえ、海軍首脳に対し、ワシントン会議に臨むよう強く訴えました。この行動は、彼の先見の明と、国家財政を憂う姿勢を示すものとして特筆されます。

その他の活動

1935年2月、前月に亡くなった元蔵相、藤井真信の葬儀委員長を務めました。西野元は、その功績を称えられ、数々の栄典を受けており、位階では従七位から従四位まで昇進、勲章では勲六等瑞宝章から勲一等瑞宝章まで叙勲されました。また、大清帝国や満州帝国からも勲章を授与されています。

死去

西野元は1950年8月3日に生涯を閉じ、その墓所は染井霊園にあります。

親族

妹の夫には、姫路高等学校校長・第八高等学校校長・富山高等学校校長を務めた小松原隆二がいます。

参考文献

『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。



西野元は、その生涯を通じて、大蔵官僚、政治家、銀行家として日本の発展に尽力しました。彼の業績は、日本の歴史において重要な位置を占めています。

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