西順蔵

西 順蔵（にし じゅんぞう）

西順蔵は、1914年8月30日に広島市に生まれた中国思想史家であり、一橋大学名誉教授です。彼の父は倫理学者であった西晋一郎であり、家庭環境は学問に対する理解を深める基盤となりました。広島高校を経て、東京帝国大学で中国哲学を専攻し、1937年に卒業した後、同大学院に進学しました。

経歴

戦前の1938年には文部省の国民精神文化研究所に助手として勤め、ここでの活動を通じて思想史の研究を本格化させました。1942年には京城帝国大学で助教授として教授経験を積むものの、1944年には大日本帝国陸軍に召集され、戦争末期の混乱の中で短期間兵役に従事しました。

戦後、彼は京城帝国大学が廃止された後、日本に帰国し、東京産業大学（後の一橋大学）で予科教授に就任します。その後すぐに一橋大学社会学部助教授となり、1958年には教授に昇格しました。さらに1966年からは社会学部長を務め、1978年に定年退官後に名誉教授の称号を得ました。引退以降も和光大学で人文学部の教授として教鞭を執りました。

研究内容・業績

彼の専門は近現代の中国思想史であり、戦後の日本におけるこの分野の開拓者の一人とされています。特に、編集を単独で担当したアンソロジー『原典中国近代思想史』は、彼の業績を象徴するものであり、中国近代思想研究において多大な影響を与えました。また、在日アジア人の差別問題にも注目し、反差別運動にも参加し、学者としての社会的責任を果たしていました。

教え子と影響

彼が一橋大学で教えた学生の中には、多くの優秀な研究者や思想家が含まれています。西順蔵の指導の下、彼らは思想史のみならず、広範な分野において活躍しています。彼の教えは、学問のみならず社会活動にも強い影響を与えました。

家族・著作

西順蔵の父、西晋一郎も哲学者であり、彼の学問への道を開いた一因となりました。西順蔵自身は多くの著作を残し、研究成果を発表しました著作集『西順蔵著作集』の全4巻は、その集大成とされています。

彼の共著や編著には、宗教に関する書籍や政治評論集、さらには差別問題を扱った論文などが含まれています。特に、岩波書店から出版された『原典中国近代思想史』は彼の主要な業績の一つであり、現在でも広く参照されています。

まとめ

西順蔵は、その幅広い研究と教育活動を通じて、中国思想史の分野で重要な足跡を残した学者です。彼の業績は、後世にわたる学びの指針となり、思想的な発展に多大な寄与をなしました。

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