覚書

覚書（おぼえがき）とは

覚書とは、特定のトピックに関する出来事や観察結果を記録することで、記憶を補助する行為、またはその記録された文書を指します。英語では「memo」と呼ばれ、備忘録としての役割を持つほか、歴史的な記録や古文書を指す場合もあります。

概要

覚書は、その形式に決まりがない場合と、組織やオフィスで定められた書式を用いる場合があります。法律分野においては、取引条件や契約内容を記録する重要な文書として扱われ、以下のような種類があります。

ポリシーメモ（policy memo）
了解覚書（MOU、memorandum of understanding）
合意覚書（MOA、memorandum of agreement）
基本定款（イギリス英語：MOA、memorandum of association）

その他にも、備忘録（memos）、ブリーフィング・ノート（briefing notes）、報告書（reports）、書簡（letters）、仮契約書（binders）なども覚書の一種とみなされます。これらの文書は、1ページに収まるものから複数ページにわたるものまで、その形式は様々です。一般的には、覚書は上司向けの簡単な手書きメモとして用いられることが多いです。

著名な言葉として、ディーン・アチソンは「覚書は、相手に知らせるためではなく、書き手を守るために書かれる」と述べています。また、チャールズ・ペータースは、官僚が覚書を書く理由として、「書いている間は仕事をしているように見え、書き終えると仕事をした証明になる」と指摘しています。

政策ブリーフィング・ノート

覚書の一種として、政策意思決定の場で政策分析の結果を提供する「政策ブリーフィング・ノート」（policy briefing note）があります。これは、司法・行政分野では、政策課題文書（policy issues paper）、政策覚書（policy memoranda）、内閣提出用覚書（cabinet submission）などと呼ばれることもあります。

通常、ブリーフィング・ノートは「参考情報として」または「意思決定のため」に作成されます。その起源は、「法的文書（ブリーフ）」や「軍事発表（ミリタリー・ブリーフィング）」に由来します。

目的

「意思決定のため」のブリーフィング・ノートの主な目的は、意思決定を支援することです。つまり、特定の問題に関して、より良い意思決定を行うために、意思決定者をサポートし、場合によっては影響を与えることを目指します。

構成

政策分析プロセスにおける情報伝達手段として、ブリーフィング・ノートは以下の要素を含むべきです。

1. 政策課題に関する明確な概要
2. 課題に対する様々な政策オプションの提示
3. 異なる見解の整理
4. 推奨オプションの提案

通常、ブリーフィング・ノートには、提言する政策の説明、関連する背景情報、鍵となる事柄の検討（実現可能性、財務面、利害関係者、影響、予測される事態を含む）、政策に関する議論の要約、そして推奨される意思決定が含まれます。提言で始まり、その根拠を述べていく政策文書は、より正確には行政白書と呼ばれます。

品質基準

ブリーフィング・ノートには世界的な標準は存在しませんが、通常、政策課題の簡潔で明確な要約と、提言の明確な論理が求められます。英国のウェストミンスターやホワイトホールの政治環境では、政策アナリストが中立的な立場から問題を分析し、ブリーフィング・ノートを作成することが期待されています。

しかし、意思決定のためのブリーフィング・ノートは、「公共政策に関する重要な事項はすべて価値判断を必要とするが、その判断は後に弁明される必要がある」という点を認識した上で、提言が行われる必要があります。

関連用語

了解覚書（Memorandum of Understanding）
合意覚書（Memorandum of Agreement）
基本定款（Memorandum of Association）
大統領覚書（Presidential memorandum）
目論見書（Private Placement Memorandum）
ハル・ノート

外部リンク

The Writing Center: Rensselaer Polytechnic Institute
Memorandum Writing, Patrick , Richard F. Elmore, Laurie Werner

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