覚盛

覚盛：鎌倉時代の律宗の僧

覚盛（かくじょう）は、1194年に生まれ、1249年にその生涯を閉じた鎌倉時代中期の律宗の僧です。彼は大和国に生まれ、学律房や窮情房と号されました。また、諡号として「大悲菩薩」を持ち、後に唐招提寺中興の祖とされました。

略歴

覚盛は興福寺で出家後、常喜院に居を構え、戒律を学びました。そして、嘉禎2年（1236年）には、叡尊や円晴、有厳らの僧侶とともに東大寺で自誓受戒を行い、その結果、戒律の復興に尽力しました。この活動は、当時の仏教界において重要な意味を持っていました。

覚盛は、四条天皇をはじめとする皇族や公卿に対して菩薩戒を授け、彼の戒律に対する深い理解と献身的な態度が評価されました。寛元2年（1244年）には唐招提寺に入寺し、その後、律学の振興に心血を注ぎました。その功績から、彼は「戒律復興の祖」として高く評価され、その取り組みは鑑真の再来とも称されています。

覚盛は1249年5月19日、唐招提寺で56歳の生涯を閉じました。彼の教えや影響を受けた弟子には、良遍、証玄、円照との名があります。

諡号の由来

元徳2年（1330年）8月9日、後醍醐天皇により「大悲菩薩」の諡号が贈られました。この称号は、蒼然とした歴史の中でどのように形成されたかが興味深く、仏教美術研究者の内田啓一は、この諡号が真言律宗出身の文観房弘真からの推挙によるものではないかと考えています。実際、当時の仏教界では、真言律宗の忍性や信空がそれぞれ諡号を受け取る中、覚盛の独自の地位が際立っていたことは、彼の戒律への深い理解と情熱を示しています。

実際、覚盛の名は様々な宗派で語られ、特に唐招提寺中興の9世の長老であった覚恵も、文観から教えを受けたことから、覚盛との関係が自然と強調されているのです。

記念行事

覚盛の命日である5月19日には、唐招提寺において「中興忌梵網会」という法要が行われます。この法要では、彼の遺徳を偲び、舎利殿からうちわが撒かれるという伝統があります。毎年この日を通じて、多くの信者が集まり、覚盛の教えと影響を振り返る機会を得ています。

このように、覚盛は律宗の発展において非常に重要な人物であり、その影響力は現代においても評価されています。彼の教えや行動は、仏教界での戒律への理解が深まる貴重な資源となっています。

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