観音寺 (観音寺市)

七宝山 観音寺：歴史と文化が息づく四国八十八箇所第六十九番札所

香川県観音寺市に位置する七宝山観音寺は、真言宗大覚寺派に属する寺院であり、四国八十八箇所霊場の第六十九番札所として知られています。本尊は聖観音菩薩で、市内名と寺名は表記こそ異なりますが、古くから人々の信仰を集めてきた由緒ある寺院です。

歴史：伝承と空海の関与

観音寺の創建は、大宝年間（701～704年）に法相宗の日証上人が琴弾山で修行中に、海上に現れた老人にまつわる出来事から始まったと伝えられています。その老人が八幡大明神と判明したことから、琴と舟を祀る琴弾八幡宮が建立され、観音寺はその神宮寺として創建されました。当初は神宮寺宝光院と呼ばれていました。

寺伝によれば、行基の訪れを経て、空海（弘法大師）が七世住職として入山。奈良の興福寺を模した七堂伽藍を整備し、本尊として聖観音菩薩像を安置した中金堂（本堂）を建立しました。西金堂には丈六の薬師如来、東金堂には弥勒菩薩を祀り、さらに仏塔を建立し七宝を埋め込んだことから、七宝山観音寺と改称されました。

その後、桓武天皇をはじめとする三代の天皇の勅願所となり、室町時代には足利尊氏の子である道尊大政大僧正が45年間住職を務めるなど、隆盛を極めました。神恵院という院号に改められた時期もありました。

伽藍：数多くの堂宇と文化財

境内には、山門（仁王門）、本堂（中金堂）、大師堂、愛染堂、薬師堂（元神恵院本堂、西金堂）、心経殿、開山堂（東金堂）、大日堂、経塚堂、宝物館、鐘楼堂など、多くの堂宇が建ち並びます。仁王門には、日本遺産の石碑が両脇に2つ設置されているという珍しい特徴があります。

本尊である聖観音菩薩は秘仏であり、2014年に初めて記録に残る開帳が行われ、2023年12月にも開帳されました。今後は10年に一度の開帳を予定しています。また、境内には西国三十三所の写し石仏や、五智如来石像なども配置され、見どころ満載です。宝物館には、重要文化財の涅槃釈迦涅槃像が収蔵されています。

さらに、梧桐庵というカフェや遍路グッズの販売所も併設されており、参拝者や観光客に休息の場を提供しています。宿坊はありませんが、山門前に無料駐車場が用意されています。

文化財：国宝・重要文化財を含む貴重な遺宝

観音寺は、数多くの貴重な文化財を所有しています。

重要文化財

本堂（附:厨子、棟札）：室町時代建立の前身堂の部材を用いて延宝5年（1677年）に建立された寄棟造、本瓦葺きの建物。
木造釈迦涅槃仏像：藤原時代末期の作。
絹本著色不動明王二童子像：香川県立ミュージアムに寄託されている。

県指定有形文化財

木造大日如来坐像（伝・聖観音）・薬師如来坐像・釈迦如来坐像：平安時代の作。2014年に一般公開された秘仏。
絹本著色両界曼荼羅図

観音寺市指定有形文化財

木造金剛界大日如来坐像
浄土九品曼荼羅図
弘化録

これらの文化財は、観音寺の長い歴史と深い信仰を物語る貴重な遺宝です。

アクセス

鉄道：JR四国予讃線 観音寺駅より徒歩約1.6km
バス：観音寺市営バス 琴弾公園バス停より徒歩約0.2km
* 車：高松自動車道 大野原ICより約5.2km

周辺

観音寺周辺には、銭形砂絵や、2019年めざましテレビ開運絶景全国1位に選ばれた天空の鳥居高屋神社など、観光スポットも点在しています。

七宝山観音寺は、歴史、文化、そして自然豊かな環境の中で、静かに信仰を深められる場所です。四国遍路の旅の際には、ぜひ訪れてみてください。

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