角盤町

鳥取県米子市の中心部に広がる角盤町（かくばんちょう）は、一丁目から四丁目までの行政区画に分かれています。郵便番号は683-0812が付与されています。この地域は、米子市内でも特に賑わいを見せる繁華街として知られています。

地理

角盤町は、米子市の心臓部に位置し、その地理的な優位性から古くから発展してきました。町域を貫く角盤通り沿いには、数多くの飲食店や居酒屋が立ち並び、夜遅くまで活気に満ちています。また、米子高島屋をはじめとする大型商業施設や、米子市公会堂といった公共施設も近接しており、買い物や文化活動の拠点ともなっています。町内には、NHK米子支局、野村證券米子支店（一丁目に所在）、山陰合同銀行米子中央代理店、鳥取銀行米子中央支店、米子市公会堂（二丁目に所在）など、様々な機関や事業所が集まっています。

東側は冨士見町や糀町、西側は朝日町、尾高町、寺町、立町、義方町に接しています。南側は東倉吉町、四日市町、紺屋町、法勝寺町と境を接し、北側は錦町に隣接しています。

歴史

角盤町の成立当初、この一帯は広大な桑畑や田園が広がる農業地帯でした。加茂川の右岸、現在の四日市町や東倉吉町のあたりにわずかに民家が見られる程度で、米川までの間は田畑が続く風景でした。この地域は、米子城下町の裏側にある農業を営む人々にとって、重要な耕作地であったため、明治時代に入るまで大規模な開発は行われませんでした。

しかし、明治時代に入ると土地の整理が計画されます。明治36年（1903年）には野坂茂三郎が会長となり土地整理委員会が発足し、明治38年（1905年）までには約173ヘクタールの土地が区画整理されました。これにより、都市としての基盤が整備され始めます。

教育施設の移転・開校も相次ぎました。明治37年（1904年）には角盤高等小学校が中町から移り、明治41年（1908年）には啓成尋常小学校が開校しました。さらに、明治42年（1909年）には県立となった米子高等女学校が、角盤通りからやや離れた北側の畑の中に設立され、地域の文教地区としての性格も強まりました。

大正期には、娯楽や産業の施設も登場します。大正3年（1914年）には朝日町出口に映画館「米子館」が開館しました。大正14年（1925年）には、尾高町で火災に遭った坂口氏の日本製糸工場が、四丁目に新たな工場として再建されています。大正15年（1926年）には、三丁目に劇場「山陰座」が開設され、地域の娯楽の中心となりました。同年には、灘町から後藤駅前を経由し、角盤小学校裏を通って皆生線に合流する電車通り（現在の鳥取県道157号米子港線の大部分）も開設され、交通の便が向上しました。

第二次世界大戦後、角盤小学校の廃校跡地には昭和33年（1958年）に米子市公会堂が建設されました。米川沿いに移転した啓成小学校の跡地には、昭和39年（1964年）に米子高島屋が開店し、商業の中心となります。昭和45年（1970年）には、やよいデパートも開店し、昭和後期には米子高島屋と共に米子市を代表する商業施設として栄えました。

なお、昭和10年（1935年）には、町域の一部が冨士見町や錦町など周辺の町に編入される行政区画の変更が行われています。

やよいデパートは、その後松江市や境港市にも店舗を展開しましたが、平成時代に入ると郊外に大型ショッピングセンターが多数出店した影響などを受け、経営が悪化しました。最終的に、平成28年（2016年）1月20日の営業をもって閉店し、自己破産しています。この出来事は、米子市の商業を取り巻く環境の変化を象徴するものとなりました。

地名の由来

角盤町という地名は、鳥取県を代表する秀峰である大山（だいせん）の別称「角盤山（かくばんざん）」を遥かに望むことができる立地に由来するとされています。

交通

現在、角盤町内に鉄道駅はありません。かつては大正時代に開設された米子電車軌道の路面電車が運行されていましたが、昭和13年（1938年）に廃止されました。

主要道路としては、国道9号線、国道181号線、鳥取県道157号米子港線が町域を通過しています。

主な施設

NHK米子支局
えるもーる1番街
野村證券米子支店
JU米子タカシマヤ（米子高島屋）
山陰合同銀行米子中央代理店
セブン-イレブン米子角盤町2丁目店
鳥取銀行米子中央支店
ホテルカクバン
米子市公会堂
角盤文庫
ドラッグストアウェルネス角盤店
ローソン米子角盤町店
KARAOKE SEED
TSUTAYA角盤町店
スターバックス米子TSUTAYA角盤町店
ローソン米子義方小前店

これらの施設は、角盤町が米子市の中心地として、商業、文化、金融など多岐にわたる機能を担っていることを示しています。

もう一度検索