角道謙一

角道謙一

角道謙一（かくどう けんいち、1927年8月14日 - 2013年12月5日）は、日本の農林官僚です。林野庁長官、農林水産事務次官を歴任し、退官後は農林中央金庫理事長を務めました。

人物

大阪府出身。東京大学経済学部を卒業後、1953年に農林省に入省しました。水産庁、農林大臣官房などを経て、1981年には農林水産大臣官房長に就任。1984年7月に林野庁長官、同年11月には農林水産事務次官となりました。退官後は、農林漁業信用基金理事長、農林中央金庫理事長を歴任しました。

農林中央金庫理事長在任中には、住宅金融専門会社（住専）がバブル崩壊によって抱え込んだ巨額の不良債権問題、いわゆる住専問題への対応に尽力しました。住専は預金業務を行わないノンバンクであり、その資金は銀行などの金融機関から調達していました。農林中金を含む農協系統は、住専への大口の貸付先であり、その総額は5兆5997億円にものぼりました。

住専の不良債権処理のために6850億円の公的資金が投入されることとなり、マスコミを中心に「農協救済」との批判が強まりました。全国銀行協会連合会の橋本徹は、資金提供した農協系統などの金融機関が貸出残高に応じて責任を負担すべきという「貸し手責任」を主張しました。

これに対し角道は、住専の設立には銀行などの金融機関が「母体行」として資本金を出し、経営者を派遣していることから、母体行が責任を負うべきという「母体行責任論」を主張しました。角道は、農協系統の金融機関は母体行の信用保証を信じて貸し付けを行ったと主張し、住専問題の責任の所在を巡って激しい論争が繰り広げられました。

1996年の第136回国会、いわゆる住専国会では、角道は参議院予算委員会で証人喚問を受け、住専問題に関する自身の見解を述べました。

2013年12月5日、心不全のため86歳で死去しました。

略歴

1953年（昭和28年）4月1日 - 農林省入省
1968年（昭和43年）7月16日 - 水産庁生産部海洋第一課長
1972年（昭和47年）6月1日 - 水産庁漁政部調査官
1972年（昭和47年）7月15日 - 食糧庁総務部調査官
1972年（昭和47年）12月8日 - 農林省畜産局競馬監督課長
1973年（昭和48年）9月1日 - 農林省畜産局畜政課長兼農林省畜産局競馬監督課長
1973年（昭和48年）9月14日 - 農林省畜産局畜政課長
1975年（昭和50年）9月1日 - 農林省大臣官房秘書課長
1978年（昭和53年）1月14日 - 農林省大臣官房審議官
1978年（昭和53年）7月5日 - 林野庁次長
1979年（昭和54年）7月20日 - 農林水産大臣官房総務審議官
1981年（昭和56年）7月21日 - 農林水産大臣官房長
1984年（昭和59年）7月6日 - 林野庁長官
1984年（昭和59年）11月13日 - 農林水産事務次官
1987年（昭和62年）10月1日 - 農林漁業信用基金理事長
1991年（平成3年） - 農林中央金庫理事長

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