訓練自衛官小銃乱射事件

訓練自衛官小銃乱射事件

この事件は、1984年2月27日に発生した日本の自衛隊内での悲劇的な出来事である。陸上自衛隊山口駐屯地の近くに位置する山口射撃場において、射撃訓練を受けていた自衛官の一人が、自らの同僚に対して小銃を乱射するという衝撃的な事件が展開された。

事件の経緯

当日、昼頃に訓練を受けていた第17普通科連隊に所属する約60名の隊員が、射撃訓練を行っていた。訓練中、一番左端に位置していた2等陸士A（当時21歳）が、突然振り返り、自身が持つ64式小銃を無差別に照準を合わせ、同僚に向けて発砲した。この突発的な行動により、4名の隊員が重傷または軽傷を負い、その中の1名は翌日、命を落とす結果となった。

Aはその後、ジープを使って現場から逃走したが、直ちに自衛隊と山口県警察が連携し、厳重な警戒体制を敷いた。その結果、午後4時40分に山口市内でAは拘束されることとなった。

事件の背景

事件発生後、Aは動機について「日頃から馬鹿にされ、鬱屈した気持ちが溜まり、どうにでもなれと思って発砲した」と語っている。精神的な問題が背景にあり、Aは重度のうつ病によって心神喪失の状態にあったとされ、最終的には起訴されずに精神病院に入院することとなった。

Aは1983年6月に自衛隊に入隊したが、当初の知能テストでは優秀な成績を記録し、採用には問題がなかったと自衛隊側は主張している。しかし、Aは大学を中退した後、1981年に滋賀県の第109教育大隊に入り、その後は姫路に配属されたが、1982年に6日間の停職処分を受け、無断欠勤をしたことで、依願退職した過去もあった。

事件の後の影響

この事件を受け、Aは懲戒免職処分とされ、自衛隊の階級は24人が関与し、訓戒や減給といった処分を受ける事件となった。また、事件に関連する防衛事務次官も処分を受けるなど、自衛隊内部の管理体制の問題が浮き彫りになった。

関連項目と文献

この事件には関連する他の事件として、フラッギングや日野基本射撃場発砲事件などが挙げられる。また、事件に関する研究資料や文献も数多く存在しており、例えば村野薫による『訓練自衛官の小銃乱射“同志”殺害事件』や、事件・犯罪研究会編の事典などがある。

このように訓練自衛官小銃乱射事件は、日本の自衛隊内部における衝撃的な出来事として記憶され、精神的健康や管理体制についての重要な教訓を提供している。

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