試製三座軽爆撃機

試製三座軽爆撃機

試製三座軽爆撃機は、大日本帝国陸軍が試作した全金属製の軽爆撃機であり、東京砲兵工廠で製造されました。陸軍は1925年初頭、国産の軽爆撃機を開発するため三菱航空機、中島飛行機、川崎造船所飛行機部の3社に試作を指示し、同時に陸軍航空部補給部でも独自に機体の開発を行うことを決めました。

補給部では、設計をドイツから招いたリヒャルト・フォークト技師に委託し、製造は東京砲兵工廠で行われました。しかし、機体の完成は1926年10月の審査に間に合わず、三菱が提出した一三式艦上攻撃機改造機が制式採用されることになりました。その後、1927年にはようやく2機の試作機が完成し、航空技術部で改良と研究が続けられましたが、八八式軽爆撃機が制定されたために1929年に本機の開発は中止されました。

試製三座軽爆撃機は、全金属製の胴体と、金属製で一部羽布張りの主翼を持つ複葉機の設計が特徴です。当時の単発機としては驚異的な1,455 kgの搭載量を誇り、先進的な設計が多く取り入れられていました。具体的には、補助翼や着陸脚の緩衝装置が新たな技術として導入されていましたが、同時期の他機と比較すると全体的に大柄であり、これが開発中止の一因とされます。また、試験飛行の際にはプロペラが金属製3翅から木製2翅に変更されるという改訂も行われました。

諸元

• - 全長: 12.20 m
• - 全幅: 15.00 m
• - 全高: 3.40 m
• - 自重: 2,221 kg
• - 全備重量: 3,676 kg
• - エンジン: 川崎 BMW-6 水冷V型12気筒（最大600 hp） × 1
• - 最大速度: 200 km/h
• - 実用上昇限度: 6,000 m
• - 航続時間: 4.5時間
• - 武装:

- 7.7mm固定機銃 × 1
- 7.7mm旋回機銃 × 1
- 爆弾 500 kg

• - 乗員: 3名

この機体は日本の航空機技術の発展に寄与するものでしたが、最終的には制式採用されることなく終息を迎えました。しかし、試製三座軽爆撃機の開発プロジェクトは、その後の日本航空機の設計に影響を与えました。特に、陸軍航空機における新技術の取り入れや設計思想については、後の世代にも指導的な要素となったことでしょう。

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