詩と眞實

『詩と眞實』の概要と歴史

『詩と眞實』は、日本で最も古い月刊文芸同人誌として、1948年に熊本県で誕生しました。2025年現在も刊行が続けられており、文学を愛する多くの同人によって支えられています。

同誌には、詩や小説、随筆など様々なジャンルの作品が寄せられています。特に毎年12月には、その年に発表された作品の中から、同人による投票で優れた作品を選び「詩と眞實賞」が授与されるため、次世代の作家を支える重要な役割も果たしています。

2024年の6月号で900号を迎え、長い歴史を持つ同誌は熊本市上通の長崎書店で販売されています。また、同人の募集は出身地や居住地を問わず行われており、新しい血を迎え入れることで、常に新鮮な作品を提供しています。毎月最終土曜日の午後3時には、熊本市新町の老舗料亭「松葉」で合評会が開催され、作家たちは互いの作品について忌憚ない意見交換を行っています。この場は創作意欲の刺激となり、多くの作家が集まる憩いの場ともなっています。

創刊とその背景

『詩と眞實』は、昭和23年11月に荒木精之や伊吹六郎ら56名の文学を愛する仲間たちによって創刊されました。その名前は、ゲーテの自伝「詩と真実」に由来し、特定の一派に属さず自由な信念で人間の真実を追求する文芸誌として発展を遂げてきました。時の流れとともに、幅広い年齢層の同人や会員が活躍し、同誌は彼らの表現の場ともなっています。

過去には、著名な作家の福島次郎が同誌で活躍し、彼の短編「バスタオル」は芥川賞の候補作に名を連ねるほどの評価を得ました。また、直木賞候補や受賞者を輩出したことでも知られ、特に光岡明や坂口䙥子、谷崎照久といった作家たちがその道を切り拓いてきました。彼らの活動は、同誌から多くの文学的才能が生まれる土壌を形成しています。

現代の活動と受賞者

2000年以降は、新しい詩の潮流を引っ張る詩人、平川綾真智が同誌で活躍し、全国的に高い評価を受けています。彼女は詩だけでなく、書評や朗読、展示など、多岐にわたる活動を精力的に行い、文学に新たな風を吹き込んでいます。最近では、吉田真枝の小説「無灯火」が文學界上半期の優秀作に選ばれ、あびる諒の作品も熊日文学賞候補および奨励賞を受賞するなど、新世代の作家たちの活躍も目覚ましいものがあります。

さらに、詩人・甲斐ゆみこは洗練された詩言語で、多くの読者の心を捉えています。また、若手作家の武田麻未や深町秋乃なども同誌で高い評価を得ており、次世代の文学を担う存在として期待されています。

現在の編集委員には、内田征司、甲斐ゆみこ、川原洋子、北原政典、武村淳、角田眞由美、深町秋乃、右田洋一郎が名を連ねています。彼らは、『詩と眞實』を通じて、文学の未来を切り開く重要な役割を担っています。

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