詩曲 (ショーソン)

概要

「詩曲」は、エルネスト・ショーソンが1896年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための作品です。作曲は、彼が不慮の事故で亡くなる3年前に行われました。当初は、ロシアの作家ツルゲーネフの小説『恋の凱歌』を基にした交響詩として構想されましたが、ショーソンは小説の持つ神秘的な要素を純粋な音楽的表現へと昇華させ、標題を外し、普遍的な「詩曲」として発表しました。

初演は1896年4月4日、パリにてウジェーヌ・イザイの演奏によって行われました。自筆譜はイザイの死後、フリッツ・クライスラーに贈られ、現在はアメリカ議会図書館に所蔵されています。

編成

この曲は、独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ、ティンパニ、ハープ、そして弦五部という大規模な編成で演奏されます。

また、ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための編曲版も存在します。この版では、独奏ヴァイオリンに加え、オーケストラのパートをピアノと弦楽四重奏が担当します。さらに、ヴァイオリン独奏とピアノ伴奏による版も存在し、様々な形態で演奏されています。

構成

楽曲は、以下の構成で展開されます。

1. レント・エ・ミステリオーソ
2. モルト・アニマート
3. アニマート
4. ポコ・レント
5. ポコ・メノ・レント
6. アレグロ
7. テンポ・プリモ
8. トランクイッロ

全体は変ホ短調で書かれており（楽譜上は変ホ長調ですが、臨時記号が頻繁に使用され、実質的に変ホ短調として響きます）、静かで神秘的な序奏から始まります。独奏ヴァイオリンが主要な旋律をゆっくりと奏で、徐々にクライマックスを形成し、その後静まって、最後は同主調の変ホ長調で穏やかに終わります。演奏時間は約16分です。

楽曲が用いられた作品

山崎豊子の小説『仮装集団』では、東京体育館でのサベーリエフのヴァイオリン演奏会にて、この楽曲が登場します。

外部リンク

Poèmeの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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