請人

請人（うけにん）とは

請人とは、鎌倉時代から明治維新までの間、売買、貸借、身元保証といった契約において保証人の役割を担った者を指します。

請人の歴史と役割の変遷

古代日本では、律令法に由来する「保人」と、固有法や慣習法に由来する「償人」という、二種類の保証人が存在していました。保人は、元々は債務者が逃亡した場合に弁済責任を負うものでしたが、後に債務者死亡時にも同様の責任を負うと解釈されるようになりました。一方、償人は、債務不履行が発生した場合に直ちに弁済義務を負う存在でした。

平安時代後期以降、この二つの区別が曖昧になり、「請人」という言葉で両者が混同されるようになります。公家法においては、請人は保人として解釈され、他の法分野でも、借用書などの証文に特約がない限りは保人的な立場とされていました。しかし、実際には償人としての弁済義務を求められることが多かったようです。

請人は、訴訟が発生した際には、売買の事実を証言する義務や、代価を弁償する義務、買主の差し押さえに抵抗しない義務などを負いました。また、所務代官や請負代官であれば、年貢納付義務を課されるなど、請人となる契約によって保証義務の範囲が異なるケースもありました。

この時代には、口入人も存在し、売買などの仲介に際して保証業務を行うことがありました。請人と口入人は役割が似ている部分が多く、両者を合わせて判形人（はんぎょうにん）と呼ばれることもありました。判形人の中には、第三者から判料と呼ばれる手数料を取って保証を引き受ける者もいました。判料は、契約の証文に判形人が保証の事実を証明するために加判を行ったことに由来します。

江戸時代の請人

江戸時代に入ると、保証人や証人という呼び名も用いられるようになり、請人としての押印は請判（うけはん）と称されました。この時代には、キリシタン禁制との関係から、奉公人、借地人、借家人などの身元を保証する人請のための請人制度が発達しました。奉公人の保証は人主（ひとぬし）、借地人の保証は地請、借家人の保証は店請（たなうけ）とそれぞれ呼ばれました。

1713年（正徳3年）には、請人は債務者の債務不履行、欠落、死亡時に弁済義務を負うことが規定され、以後、全ての請人が償人的な義務を負うようになりました。

まとめ

請人制度は、時代とともに変化し、様々な役割を担ってきました。現代の保証人制度にも繋がる重要な制度と言えるでしょう。

参考文献

平松義郎「請人」（『国史大辞典 2』吉川弘文館、1980年）
小田雄三「請人」（『日本史大事典 1』平凡社、1992年）
* 安西欣一「請人」（『日本歴史大事典 1』小学館、2001年）

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