論文掲載料

論文掲載料について

論文掲載料（英: Article Processing Charge、APC）は、研究者が自らの論文を専門の学術誌に提出する際に支払う必要がある手数料です。この手数料は主に、オープンアクセスまたはハイブリッドオープンアクセスの学術誌に関連しています。通常、費用は研究者自身が負担するのではなく、彼らが属する大学や研究機関、あるいは研究助成機関の資金から賄われることが一般的です。ただし、一部の出版社では、経済的な支援が乏しい研究者に対して料金の免除措置を設けていることもあります。

掲載料の実態

学術出版社は、論文を出版するためのさまざまな費用をカバーするために、複数の資金源を利用しています。これには、購読料収入や出版助成金が含まれます。論文掲載料は一般的に高額であり、100ドル以下から3,000ドル以上に及ぶことがあります。特に、影響力のある大手出版社の学術誌では、掲載料が高く設定される傾向があります。

オープンアクセスに関する議論は、倫理的な問題や経済的な圧力を含んでいます。伝統的な出版社は、特定の条件下でオープンアクセスを提供する場合、追加の手数料を請求することがあります。例えば、ハイブリッドオープンアクセスの論文に対しては、フルオープンアクセスの約2倍の料金が設定されることが一般です。また、特定の学術誌では、ページ数や図のカラー化に応じた追加料金が発生することもあります。

批判と懸念

オープンアクセスモデルによって、論文の掲載にかかる費用は読者ではなく著者に転嫁されており、これが新たな問題を生む要因となっています。具体的には、以下の3つの懸念が挙げられます。
1. 質の低い論文掲載の増加: 出版社は論文を公開することで収益を得るため、質が劣る論文でも掲載する「ハゲタカジャーナル」が増加する懸念があります。
2. 資金不足の研究者への影響: 大学や研究機関の資金が限られている場合、オープンアクセスジャーナルに掲載するための費用が負担になり、研究成果が公表できなくなるリスクが存在します。
3. 資金提供のシフト: アメリカ国立衛生研究所やウェルカム・トラストといった資金提供機関が研究支援からオープンアクセス出版の支援に資金を振り向ける動きが出ています。

さらに、国際的な研究機関の収益データからは、学術出版社が毎年約76億ユーロの売上を上げており、そのほとんどは大学や研究機関の資金から支払われていることが示されています。この金額は、オープンアクセスのために確保すべき資金源として考えられています。

まとめ

論文掲載料は、学術出版の現在の形態において重要な要素ですが、その高額さや資金不足によって生じる不平等性、質の低下といった諸問題を引き起こしています。これらの問題は、研究者、大学、資金提供機関の関係を変化させる可能性を秘めており、今後の学術界における良質な研究の発展に影響を与えることでしょう。

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