謝長廷

謝長廷（しゃ ちょうてい）

謝長廷（Hsieh Chang-ting、1946年5月18日 - ）は、中華民国（台湾）の政治家、弁護士であり、民主進歩党（民進党）の主要な人物です。総統府資政、民進党主席、行政院長（首相）、台北駐日経済文化代表処駐日代表など、数々の要職を歴任しました。

生い立ちと学歴

台北市で漢方医の家庭に次男として生まれました。中学時代から器械体操に打ち込み、高校時代には台湾省運動会で優勝するほどの腕前でした。台湾大学法律学科在学中に司法官試験と弁護士試験に合格。卒業後、予備士官教育を経て台湾大学法律研究所に進みました。その後、日本の文部省奨学生として京都大学大学院法学研究科に留学し、法学修士号を取得。博士課程に進み単位取得後、帰国しました。

弁護士から政治家へ

帰国後、弁護士として活動し、姚嘉文らが設立した「中国比較法学会」に入会。ここで陳水扁や蘇貞昌らと出会いました。1979年の美麗島事件では、姚嘉文の弁護を担当したことがきっかけで政界への道に進むことになります。1981年に台北市議会議員に初当選し、国民党による独裁政権下で野党の結成が禁止されていた中、「党外」団体の創立に関わりました。1986年に民進党が結成された際には、党名の提案者となり、綱領草案の作成にも中心的メンバーとして貢献しました。

1989年には立法委員に初当選し、2期務めました。1996年の総統選挙では、副総統候補として出馬しましたが落選。その後、1998年に高雄市長選挙で当選し、2000年には民進党主席に就任しました。市長と党主席の兼任を批判され、2002年に党主席を退任。同年の高雄市長選で再選を果たしました。高雄市長時代には、下水道整備による水質改善、交通インフラや文化施設の建設など、数々の実績を挙げ、市民からの高い支持を得ました。

行政院長と総統選挙

2005年1月、高雄市長を辞任し、行政院長に就任しました。「和解と共生」を理念に掲げ、野党や中国に対話を呼びかけましたが、成果を上げられず、2005年12月の統一地方選挙での民進党の惨敗を受けて、行政院長を辞任しました。2006年の台北市長選挙にも出馬しましたが、落選しました。その後、2008年の総統選挙では民進党公認候補として出馬し、明治維新になぞらえた「台湾維新」をスローガンに掲げましたが、国民党の馬英九候補に敗れました。

その後

総統選挙落選後は、自身が設立した台湾維新基金会の理事長を務めました。2012年には中国を訪問し、中国共産党の要人と会談しました。2016年には、台北駐日経済文化代表処駐日代表に就任し、日台関係の強化に尽力しました。

人物像

謝長廷は、日本統治時代のインフラ建設や教育に影響を受けたと語っており、日本との関係を重視しています。京都大学に留学した経験から、台湾と日本の制度の違いに衝撃を受け、弁護士として台湾の貧困層を支援しました。また、同性婚を支持する立場であり、東京レインボープライドにも参加しています。尖閣諸島問題については、中華民国としての立場を表明しつつも、主権と漁業権を分けて考えるべきだと主張しています。



謝長廷は、台湾の民主化と国際社会における地位向上に貢献した人物として知られています。その弁護士としての経験や政治家としての活動は、台湾社会に大きな影響を与えました。また、日本との友好関係を重視し、両国間の相互理解と協力促進に尽力しています。

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