警視庁潜入24時!!

警視庁潜入24時!!

『警視庁潜入24時!!』（けいしちょうせんにゅうにじゅうよじ）は、1978年1月から1992年12月にかけてテレビ朝日系列で特別番組として放送されたドキュメンタリーシリーズです。テレビ朝日とテレビ朝日映像が制作を手がけ、日本のテレビにおける「警察24時」というジャンルの草分け的存在として位置づけられています。

番組概要と内容

この番組の主な舞台は東京都を管轄する警視庁でした。単に組織を紹介するだけでなく、その活動現場に深く密着するスタイルが特徴でした。特に、街中をパトロールする自動車警ら隊、高速道路上の安全を守る高速道路交通警察隊、そして事件発生時にいち早く現場に駆けつける機動捜査隊の日常や活動を、パトカーへの同乗などを通じて詳細に追いました。

また、都内の各警察署や地域に根ざした交番といった、より身近な警察機能にもスポットを当て、その多様な業務を紹介しました。番組の大きな見どころの一つが、生中継を多用した演出です。活気あふれる都心の繁華街や夜の歓楽街からのレポート、上空からの状況を伝える中継用ヘリコプターからの映像、そして事件発生や通報が集中する警視庁通信指令センター内の緊迫した様子などが、リアルタイムで届けられました。

さらに、社会的な側面として、番組内では解決に至っていない事件の情報提供を呼びかけたり、指名手配犯に関する情報を視聴者に提供したりする役割も担っていました。制作拠点としては、東京都港区六本木にあるテレビ朝日の本社内に放送センターが特設され、ここを中心に番組が進行しました。

出演者

番組の進行や現場レポートは、主に当時のテレビ朝日アナウンサーたちが担当しました。長年にわたりシリーズが制作されたため、多くのアナウンサーが中継リポーターとして出演しています。例として、保坂正紀、渡辺宜嗣、森下桂吉、田畑祐一、寺崎貴司、藤井暁、飯村真一といった面々が名を連ねています。

最終回となった1992年12月30日放送分では、川瀬真由美アナウンサーが進行役を務め、スタジオにはゲストコメンテーターとして俳優の森田健作、タレントのうつみ宮土理、フィットネス指導者のチャック・ウィルソン、そして弁護士の三瀬顕が登場し、多角的な視点から番組内容について語り合いました。

番組の雰囲気を決定づける重要な役割を担ったのがナレーションです。長らく、その重厚で落ち着いた語り口で知られる声優の久米明が、1978年の開始から1992年1月の放送までナレーションを担当しました。シリーズ最終回では、槇大輔がナレーターを務めています。

制作体制と終了

『警視庁潜入24時!!』は、テレビ朝日とテレビ朝日映像の共同制作体制で生み出されました。特に生中継を含む複雑なドキュメンタリー制作には、多岐にわたる専門スタッフが関わっています。企画、ディレクター、プロデューサーといった中心的な役割に加え、中継技術、取材撮影、編集、音響、照明など、数多くの技術・制作スタッフが一体となって番組を支えました。制作協力会社や、系列局の協力も得ながら、広範囲にわたる取材と放送が実現されました。

惜しまれながらも、番組は1992年12月の放送をもってその歴史に幕を下ろしました。

シリーズの遺産

『警視庁潜入24時!!』は、「警察24時」というドキュメンタリージャンルを確立した先駆者であり、その後の多くの類似番組に影響を与えました。番組終了後も、『列島縦断警察24時』や『激録!交通警察24時』、『列島警察捜査網 THE追跡』といった、警察の活動に密着するドキュメンタリー番組がテレビ朝日の系列内外で制作・放送されており、この番組が築いた伝統とスタイルは現代にも引き継がれています。日本の治安維持にあたる警察官たちの知られざる活動や、事件・事故の現場の現実を視聴者に伝える上で、『警視庁潜入24時!!』が果たした役割は非常に大きなものでした。

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